弟子規
弟子規
われわれが書見をする書斎は整理整頓を心がけ、壁も乾燥させ、きれいにしておくこと。大小の机も清潔に保ち、机の上の文具もきちんと置いておく。墨を摺る時...
読書をするには、三つの事をしっかりやる必要がある。心で考え理解し、目で見て確認して、口で唱え音読するのである。この三つは非常に重要である。この一書...
およそわが身をもって実行しないものは、本の上だけで知識を得て応用を知らないものであり、実践的ではなく、将来どのような人になるか皆目見当もつかない。...
人間は同じように見えるが、その性情は大いに違う。大多数の人は平凡であるが、本当に徳性に度量があって高尚な人は極めて少ない。もし、本当に徳性が優れて...
家の男女の使用人に対するとき最も重要なことは、自身の言行を端正無私にし、かつ慈しみを厚くして度量を大きくし、苛めたり圧力を掛けたりしない。
およそ人と物のやりとりをするとき、知るべきもっとも重要なのは、人に物を与える時は大目に、人から物をもらうときは少な目を心掛ける。人に何かするときは...
他人の欠点や過ちを不用意に宣揚してはならない。他人の秘密を知ったら、これを追及したり、いたるところで言いふらしたりしない。他人の長所を聞き及び、こ...
自分に能力があったら、自分のことだけを考えるのではなく、人を助けることも考える。人に才能があったら、それに嫉妬したり、人の悪口を言ったりしない。お...
人と人との間は、お互いに親しく愛し合うものであり、それはあたかも天が一切を覆い、大地が万物一般を受け止めて育んでいるようなものである。品行が高尚な...
知らず知らずのうちに無意識に犯すものは「過ち」であり、知っていて犯すのは「悪」である。過ちを知って改めることができれば、それは消失してゆくが、もし...
もし人から自分の過ちを批評されると怒り、褒められると喜んでいれば、人を利用しようとする悪い友が接近してくるが、好意から指摘してくれる良い友は離れて...
真正な君子は、物質的な方面で他人に及ばなくてもかまわず、品德、学問或いは才能、技術の上で他人に及ばないときに自ら刻苦精励する。また、着ている服や口...
周處が三害を除いた故事は多くの人々が聴き知っている。彼は生来から勇気のある人間で、水中の悪竜を退治したり山中の人食い虎を駆除したりしたが、平安な郷...
迦葉佛が世にあった時の話である。ある少年比丘の声は非常に優雅で、佛を賛美する歌に皆が聞き惚れていた。シャー(沙啞)という老比丘がいたが、少年比丘は...
凡そ話をするときは信用を守ることが肝要であり、嘘や出鱈目を言っていたのでは、どうしていいことがあろうか。多く話し過ぎるより、少なく話す方がよっぽど...
門に進み入る際には、まず中に誰かいるか聴いてみる。大広間に入る際は、必ず声を揚げて挨拶する。人が誰かと聴いてきたら、必ず自分の名で答える。ただ「私...
清代の安徽省に殷さんと柳さんという二人の富豪がいて、互いに親交があった。あるとき柳さんが病気になって危篤になり、まだ幼少であったその一人息子は殷さ...
路を歩くときはせかせかとせず、立つ時は姿勢を端正にし、頭を真っ直ぐにして胸を張る。揖の作法をするときは腰を深く屈め、拝する態度は恭しくする。門の敷...
着用する衣服は清潔を重視し、必ずしも煌びやかな華麗なものを身に付ける必要はない。まずは自らの身分を考え、後に家の経済状態と折衷をはかればよい。 ...
魯の哀公が孔子に訊いた。「先生が着用しているものは、儒者(注1)特有の服装ですか?」。  孔子が答えた。「私は幼少の頃より魯國に住んでいて、袖の...
年輩者の前では声を抑えて話すが、低調になりすぎて聴きにくくなってもいけない。
朝は早くから起き、夜は多めに学習に時間を費やしてから就寝するようにする。人の老いるのは早いため、時間を惜しまなくてはならない。
路上で年輩者に遇ったら、すみやかにその前に進み出て一礼し、何も話がなかったら、その傍らに恭しく立つ。自らが馬上にあって年輩者に遇ったら即刻に馬を下...
飲食する時、あるいは歩く時も座る時も、年輩(先輩)者が先で、弱年(後輩)者は後になる。年輩者が人を呼んでいるときは、即刻年配者に替って人を呼びに行...
兄姉は弟妹を可愛がり、弟妹は兄妹を尊敬する。兄妹姉妹が互いに和やかに睦み合えば、孝道は自ずとその中にある。
父母が病気に罹ったら、その子女は薬を熱すぎないか嘗めて確認し、日夜看病して病床を離れてはいけない。
父母が過ちを犯したら、それを改めるよう勧めなければならず、顔色はにこやかに声色は柔和なものでなくてはならない。
父母が喜ぶ事物や行為は、その子女が極力準備してやるようにする。
たとえ小さな事であろうと、父母にことわりなしで任意に行ってはならない。
冬は両親のために床を暖め、夏は両親のために床を涼しくしておくこと。