ー夢のお告げー

【大紀元日本9月24日】とは何でしょうか?ほとんどの夢はストーリー性がなく、すぐに忘れてしまうものですが、中にはとても印象的なものもあります。家族が夢に出てきたとか、繰り返し同じ夢を見るという人は、人生の謎を解くヒントが夢から得られるかもしれません。古代中国にも、夢に関する物語があります。
 

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 明の時代、楊州(当時の中国南部)に食品店を経営する老人がいた。彼の店は繁盛し、老人の一家はとても裕福な暮らしをしていた。ある日、老人は病気になり、寝たきりになった。老人は亡くなる前に、息子に秤を渡して言った。「この秤を大切にしなさい。これは黒檀で出来ており、中は空っぽで、水銀が入っている。客に物を売るとき、これをほんの少し上に押せば、目盛りは実際の重さより重い方に傾く。店で物を買う時、この秤を少し下に押せば、目盛りは実際の重さより軽い方に傾く。このやり方で、私は裕福になったのだ」。息子は老人の話を聞いて、大変なショックを受けた。父親は重さをごまかし、人の目を欺いて、多くの利益を得ていたのだ。息子は内心やり切れなかったが、死の床にある父を責めたりはしなかった。

 息子は父親が亡くなると、すぐにその秤を焼き捨て、困っている人々に施しをした。息子はたくさんの善行を重ねたが、十分ではないのではないかと常に心配した。息子は3年のうちに一家の半分の財産を使い果たしたが、満足した。彼は、これで父親の罪が償えると思った。

 しかし、息子に思いがけない不幸が訪れた。彼の息子が二人続けて亡くなったのだ。彼は、なぜこれまでの善行が報われず、かえって災難がやってきたのかと天を恨まずにはいられなかった。

 ある日、息子の夢に、天の宮殿に座す一人の官_li_が現れた。官_li_は言った。「お前の父親は、過去世で積んだ徳のために、今世ではとても裕福になるはずだった。たとえ彼があの秤を使わなかったとしても、彼は同様に裕福になれたのだ。しかし、彼はその秤を悪用したために、たくさんの業を積んでしまった。従って、彼は今後、苦しみを持ってその償いをすることになるだろう。もともと天帝は、『貧乏』と『消費』という二人の申し子を遣わし、お前の一家の財産を食いつぶさせ、お前も長くは生きられない予定だった。しかし、お前は善良な心を持ち、その行いは父親の罪を償うのに十分だった。天帝は3年の間お前を観察し、お前が常に誠実で正直なのを見て、二人の申し子を天に呼び戻したのだ。近い将来、お前はとても聡明で立派な子供を持ち、お前の寿命も長くなる。心を修め、善行を積み、恨みは抱かぬことだ」

 その後、息子は夢のお告げの通り、人々に親切にすることを心がけた。その後授かった二人の息子はとても聡明で、科挙に合格し、一家の名を上げたという。

 

 

 (翻訳編集・郭丹丹)