狼とツル【イソップ物語】悪人に尽くしても報われない

あるオオカミが欲張って夢中で食事をしていたところ、骨が喉に横向きに引っかかってしまいました。上にも下にも動かせず、当然のことながら何も食べることができません。食いしん坊のオオカミにとって、それはまさに最悪の事態でした。

そこでオオカミは慌ててツルのもとへ向かいました。長い首とくちばしを持つツルなら、骨に届いて引き抜いてくれるに違いないと確信していたのです。

「その骨を抜いてくれたら、たっぷりと報酬を与えるよ」と、オオカミは言いました。

マイロ・ウィンター作「狼と鶴」、『イソップ物語』(1919年)より。(PD-US)
『子供のためのイソップ寓話』(1919年)より、マイロ・ウィンターによる挿絵「オオカミとツル」PD-US

 

想像がつくように、ツルは自分の頭をオオカミの喉の中に入れることに、強い不安を感じました。しかし欲深い性格でもあったため、結局はオオカミの頼みを聞き入れることにしました。

ツルが骨を引き抜くと、オオカミはすぐに楽になり、そのまま立ち去ろうとしました。

「でも、私の報酬はどうなるのですか!」と、ツルは慌てて叫びました。

「何だと!」オオカミは振り返り、うなり声をあげました。「もう受け取っただろう。私がお前の頭を食いちぎらずに、無事に口から抜かせてやった。それで十分じゃないか?」
 

『悪人に尽くしても、報酬を期待してはいけません。』
 

この寓話は、『子供のためのイソップ寓話』(1919年)から再録したものです。

イソップ(紀元前620年頃〜紀元前564年頃)は、古代ギリシャの語り部であり、今日「イソップ寓話」として知られる数多くの物語の作者とされています。これらの寓話は明確な道徳的教訓を含み、長い年月にわたって私たちの文化や文明に影響を与えてきました。子どもたちの教育や道徳的成長に寄与してきただけでなく、その普遍的な内容によって、大人にとっても美徳を再確認したり、人生の警告に耳を傾けたりするための自己省察のきっかけとなってきたのです。