アメリカ小児科学会が発行する学術誌『ペディアトリクス』に12月1日に掲載された査読付き研究によると、子ども時代にスマートフォンを所有することは、睡眠不足、肥満、うつ病のリスクが有意に高いことと関連しているとされています。
研究者らは、国立衛生研究所が実施した調査から収集された10,588人の子どものデータを分析しました。参加者の平均年齢は12歳で、そのうち63.6%がスマートフォンを所有していました。端末を初めて取得した年齢の中央値は11歳でした。
研究の結論によると、思春期初期におけるスマートフォンの所有は、「社会経済的要因や親の影響といった交絡因子(結果に影響を与える可能性のある別の要因)を考慮した後でも、うつ病、肥満、睡眠不足を含む、より不良な思春期の健康転帰と関連している」とされています。
研究ではさらに、「最近スマートフォンを取得した13歳の子どもは、12歳時点の基準値を調整した後でも、精神的健康や睡眠の質がより低いと報告しており、スマートフォンの新規取得が有害な健康転帰と関連している」と述べられています。
また、スマートフォンをより早い年齢で所有するほど健康リスクが高いことも明らかになりました。初めてスマートフォンを持つ年齢が低いほど、12歳時点で肥満や睡眠不足になる可能性が高くなる傾向が見られました。
12月1日の声明で、本研究に参加した研究者が所属するフィラデルフィア小児病院は、思春期の若者の精神的健康に対するスマートフォン使用の影響への懸念が高まっていることが、今回の調査のきっかけになったと述べています。
研究の筆頭著者であるラン・バージレイ氏は、今回の結果から、スマートフォンは思春期の健康に影響を与える「重要な要因」として捉えるべきであることが示唆されると述べています。子どもにスマートフォンを持たせるかどうかを決める際には、潜在的な健康への影響を考慮する必要があるとしています。
バージレイ氏は、「私たちは、スマートフォンがすべての思春期の若者の健康に有害であると主張しているわけではありません。むしろ、肯定的な側面と否定的な側面の両方を踏まえ、健康への影響について慎重に検討することを提唱しています」と述べています。
さらに、「多くの10代の若者にとって、スマートフォンは社会的つながりを強め、学習を支援し、個人の成長を促す情報や資源へのアクセスを提供するなど、建設的な役割を果たすことがあります。同様に、一部の家庭では、安全確保や連絡手段としてスマートフォンを必要不可欠なものと考えている場合もあります」と語っています。
バージレイ氏は、10代の若者が最終的にスマートフォンを持つようになることは避けられないとしながらも、親に対しては、不適切なコンテンツに触れたり、不健康な習慣を身につけたりしないよう、子どものスマートフォン使用を見守り、適切に管理するよう助言しています。
具体的な提案としては、子どもにスマートフォンを与える前に家族内で明確なルールを定めること、寝室や宿題中の端末使用に関するガイドラインを設けること、不適切なコンテンツへの接触を防ぐためにプライバシー設定やコンテンツ制限を調整することなどが挙げられています。
「若者がスマートフォンから離れて身体活動に取り組む時間を持つことは極めて重要です。身体活動は肥満を防ぐだけでなく、長期的に精神的健康を高める可能性もあります」とバージレイ氏は述べています。
一方、立法者たちは、学校における子どものスマートフォン使用を制限するための措置を講じています。
現在、30の州とコロンビア特別区では、学校敷地内での生徒のスマートフォン使用を禁止または制限する法律が施行されています。場合によっては、生徒がスマートフォンを施錠されたポーチに入れることを義務づけられています。一方で、昼休みや休み時間には使用を認めるなど、より緩やかな制限が設けられているケースもあります。
2月19日の声明で、アメリカ国立教育統計センターは、公立学校の管理職の半数以上が、携帯電話の使用は子どもの学業成績に悪影響を及ぼしていると考えていると述べています。
しかし、学校でのスマートフォン制限に賛成しない保護者もいます。
2024年9月の声明で、全米保護者連合は、公立学校に通う子どもの保護者を対象とした調査の結果、回答者の78%が、緊急時に使用できるよう、子どもに学校で携帯電話を持たせたいと考えていることが明らかになったと発表しました。
同団体の会長であるケリー・ロドリゲス氏は、「政策立案者が学校で携帯電話を禁止することで問題を解決していると思う前に、実際の保護者と話し、なぜ授業時間中の連絡手段がそれほど重要なのかを理解すべきです」と述べています。
一方、アメリカ心理学会の声明によると、117件の研究をレビューした結果、スクリーンを見る時間が過剰になると、子どもに感情面や行動面の問題を引き起こす可能性があることが示されています。
こうした問題は、ストレスに対処する行動として、さらにスクリーンに向かう時間を増やすことにもつながり、悪循環を生み出す可能性があります。
(翻訳編集 井田千景)
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