職場で気持ちよく一日を過ごすには? 専門家が教える5つのコツ

仕事がうまくいかない日を経験したことがある人は多いでしょう。上司に叱られたり、同僚と摩擦が生じたり、プレッシャーを強く感じたりすることもあります。一方で、特別な成果を出したわけではないのに、比較的楽しく、活力に満ちた一日を過ごせる日もあります。実は、こうした前向きな感覚は、職場の調和のとれた雰囲気が、人の心理的な欲求を満たしていることから生まれる場合が多いのです。そこで専門家が、仕事の日をよりよいものに感じるための5つの方法を紹介しています。

イギリスのマンチェスター・メトロポリタン大学で組織心理学を教えるイオアニス・クラツィオティス氏は、The Conversationへの寄稿の中で、自身と同僚の研究から、人は周囲からの「本当の支援」を感じることで、三つの基本的な欲求が満たされると述べています。それは、自主性の感覚、能力の感覚、そして人とのつながりの感覚です。

これらの欲求が満たされることで、一日がより良いものに感じられるようになります。次の5つのシンプルな行動によって、自分自身だけでなく、周囲の人にとっても心地よい一日をつくることができます。

(1)小さな達成を認める

達成感は、幸福感を高めるうえで非常に重要な要素のひとつです。仕事の中で、うまく進んでいる小さな出来事に目を向けてみましょう。たとえば、ある作業が少し前進したり、後回しにしていたタスクをようやく終えたりしたことかもしれません。

こうした小さな達成をきちんと認めることで、能力感が高まり、その感覚は一日中続くだけでなく、仕事以外の時間にも良い影響を与えます。

(2)助けを求め、そして返す

支援は、必ずしも形式張ったものである必要はなく、時間がかかるものでもありません。ちょっとした声かけや簡単な質問、アドバイスの共有だけでも、大きな違いを生みます。こうした小さなやり取りは、「気にかけてもらえている」「支えられている」という感覚を生み、その日の気分や意欲を高めてくれます。支援は双方向であるほど効果的です。助けを求めるだけでなく、できる範囲で相手に手を差し伸べる機会も意識してみましょう。

(3)他人にも、自分にも余白を与える

仕事の進め方にある程度の自由があるかどうかは、日々の気分に大きく影響します。タスクの進め方について小さな選択肢を自分に許し、可能であれば同僚にも同じ自由を与えましょう。相手を信頼することは人間関係を深め、自分に余白を与えることは、集中力や意欲を保つ助けになります。

同僚同士のコミュニケーション。(Shutterstock)
同僚同士のコミュニケーション。(Shutterstock)

(4)バランスを保つ

私たちは、基本的な欲求が満たされていないとき、知らず知らずのうちに疲れ切ってしまいます。仕事に自由がなかったり、進捗が感じられなかったり、人との交流が不足していたりすることが原因になる場合もあります。

特定の欲求を一つだけ満たすことよりも、全体のバランスを取り戻すことのほうが大切です。まずは、自分がどの点で不足を感じているのかに気づくことが、バランス回復の第一歩になります。そのうえで、小さな行動を起こしてみましょう。

たとえば、もっと自主性が欲しいなら、次に取り組む作業の順番を自分で決めてみる、達成感が欲しいなら、確実に終えられるタスクを一つ片づける、孤立感を覚えるなら、同僚と少し話してみるといった具合です。

こうした行動を周囲にも勧めることで、チーム全体の雰囲気が良くなり、バランスと支援が皆の共通の責任になります。そうなれば、心地よい一日も自然と増えていきます。

(5)一日の終わりに、誰かに声をかける

短くても心のこもったコミュニケーションは、その日の気分を大きく変えてくれます。「ありがとう」という一言や、相手をねぎらうメッセージ、同僚とのちょっとした会話は、想像以上に気持ちを明るくしてくれます。

仕事を終える前に誰かに連絡を取ることで、職場を離れるときに、よりリラックスした、前向きな気分で一日を締めくくることができます。良好な職場の人間関係は、気分を良くしてくれるだけでなく、必要なときに頼れる支援のネットワークにもなります。

クラツィオティス氏は、研究から得られた結論はとてもシンプルだとまとめています。美しい、心地よい仕事の一日は、大きな変化や完璧な条件を必要としません。日常の中にある、ささやかな支援の瞬間が積み重なり、私たちに自由や自信、そして人とのつながりを感じさせてくれるのです。

こうした小さな瞬間に目を向け、シンプルで意味のある形で互いを支え合うことで、職場では充実感を得られ、家では心身ともにリフレッシュできる日を、より多くつくり出すことができるでしょう。

陳俊村