あなたは2分間だけスマートフォンをチェックするつもりでした。ところが45分後には、見知らぬ人の猫の動画を見ていて、どうしてそこにたどり着いたのかさえ覚えていません。それは偶然ではありません。世界でも有数の高度なエンジニアリングチームが、あなたの注意を引きつけるための競争を日々繰り広げており、私たちはその競争で不利な立場に置かれています。
少なくとも、アルゴリズムによって動くソーシャルメディアプラットフォームは、単に私たちの注意を散漫にしているだけでなく、脳の働き方そのものを再形成し、場合によっては悪い方向へ向かわせている可能性があると考える専門家が増えています。
アルゴリズムの仕組み
アルゴリズムが脳にどのような影響を与えるのかを理解するには、まず、それが何を目的として設計されているのかを知ることが役立ちます。
ソーシャルメディアにおいて、アルゴリズムは目に見えない編集者のように働きます。常に情報を整理し、選別し、人々をできるだけ長くプラットフォームにとどめるコンテンツを予測するよう設計されたルールに基づいて、ユーザーが目にするものを決定します。すべての「いいね」、一時停止、スクロール、クリックは、ユーザーのプロフィールに紐づくシグナルとなり、その人を引きつけ、何度も戻ってこさせるコンテンツを、時には驚くほど正確に予測するために使われます。
「報告されているいくつかの事例では、ソーシャルメディアのアルゴリズムが、ユーザー本人がパートナーや友人、さらには医師に伝える前に妊娠を予測し、広告やコンテンツ、育児に関するポッドキャストや動画などを表示したケースがあります」と、グローバル基調講演者でデジタルウェルビーイングの提唱者であるアレクサンダー・ベル氏はエポックタイムズに語りました。
こうした予測は、ごく小さなデジタル上の手がかりから組み立てられるとベル氏は述べています。投稿を少し長く見たり、わずかに目を止めたりするだけでも、好みや興味、感情的な反応を示すシグナルとして受け取られることがあります。
その多くは、ユーザーからは直接見えない設計機能を通じて行われており、一般にバックエンドシステムやシステムアーキテクチャと呼ばれます。これらのシステムは、おすすめ投稿、ニュースフィードの表示順、推奨アカウント、ターゲティング広告、トレンドトピック、通知、「いいね」、プロフィール閲覧数、インプレッションなど、利用者の関与に関するさまざまな機能を制御しています。
「ユーザーが長く滞在するほど、より多くの広告が表示され、より多くのユーザーデータが生成されます。そのデータを使ってアルゴリズムをさらに調整・改善し、より関心を引くコンテンツを配信することで、また同じサイクルが繰り返されます」とベル氏は述べました。
以前GoogleでMaps、YouTube、AdWordsに関わる製品やデータ関連の業務を担当し、その後スクリーンタイム管理会社を設立したケネス・シュレンカー氏は、エポックタイムズに次のように語りました。「私たちのデータでは、過剰なスクリーンタイムの多くは、ユーザーが意図的に『続けよう』と判断したわけではない利用の中で起きています。ただ、やめなかったのです。
「人々がしたいと思っていることと、実際にしていることとの間にあるそのギャップ——そこにアルゴリズムの強さがあります」
「ブレインロット」
アルゴリズムが重視しているのは、ユーザーの関与です。
「満足でも、学習でも、ウェルビーイングでもありません。ただ関与を高めることです」とシュレンカー氏は述べました。
時間が経つにつれ、これは私たちの行動だけでなく、脳が働き、適応していく仕組みにも影響を与える可能性があります。デジタルプラットフォームが与える即時的な満足感によって、同じレベルの刺激を得るために、より刺激の強いコンテンツを求めるようになる可能性があります。その結果、刺激に慣れてしまうことや、注意を持続しにくくなることにつながる終わりのない消費のサイクルが生まれる可能性があります。
こうした変化は、特に思春期の若者や若い成人において、より広い影響をもたらす可能性があります。過剰なスクリーンタイムは、脳の発達への悪影響や、認知機能が早い段階から低下する可能性との関連が指摘されています。また、速く断片的なデジタルコンテンツに長時間さらされることは、感情の調整を難しくする可能性もあります。
同時に、深く考えたり、自分を振り返ったりするなど、脳の健康を支える活動に使う時間を奪う可能性もあります。
「退屈に耐えられる時間が短くなります。本を読むことが難しく感じ始め、静かに座っていることも不快に感じるようになります」とシュレンカー氏は述べました。
それは個人の弱さや性格の問題ではなく、むしろ神経可塑性が望ましくない方向に働いているためだと彼は述べています。脳は、新たなドーパミン反応のパターンに適応するよう変化していきます。
こうした懸念が広がる中、その状態を表す新しい言葉も登場しました。オックスフォード大学出版局が2024年の「今年の言葉」に選んだ「ブレインロット」は、反復的で質の低い、アルゴリズムによって配信されるコンテンツに長期間さらされることによって起こるとされる、認知面や感情面の低下を広く指す言葉です。
「社会全体で見れば、私たちは人間の注意力をめぐる前例のない実験を行っているようなものです」とシュレンカー氏は述べました。
最も効果的な変化
意味のあるプラットフォーム改革が実現するまでは、人々は、自分では完全に制御できないシステムから受ける影響を、できるだけ減らしていく必要があります。
個人の意志力だけでは、自分を守るには十分ではないとシュレンカー氏は述べました。
「そして、それを意志力の問題として捉えることは、まさにプラットフォーム側にとって都合のよいことです。なぜなら、責任をユーザー側に移せるからです」と彼は述べました。
彼はこれを、いわば軍備競争のようなものだと表現しました。一方には、集中力や自制心に限界のある人間の脳があります。特に疲れている時、ストレスを感じている時、孤独な時には、人はより長くスクロールしやすくなります。もう一方には、世界でも有数の高度なエンジニアリングチームによって設計され、行動を予測するために多額の資金が投入されたシステムがあります。
最も効果的な変化は、環境をあらかじめ整えることから生まれるとシュレンカー氏は述べています——きっかけとなるものを取り除き、ひと手間を加え、望ましくない行動が起こりそうな瞬間に、それをしにくくすることです。具体的には、集中したい時間帯にアプリをブロックしたり制限したりすること、無限スクロールを無効にすること、スマートフォンの画面をグレースケールに設定すること、気が散りやすいアプリを開く前に短い待ち時間を設けることなどが挙げられます。
彼自身もこうした工夫を生活に取り入れています。スクリーンタイム管理機能を活用し、午前10時から午後3時までを毎日の集中時間として設定し、その間はソーシャルメディアやニュースアプリをブロックしています。また、メッセージ、地図、音楽だけを利用できる定期的な「デジタル安息日」の時間も設けています。
「自分も例外ではないと分かりました」とシュレンカー氏は述べました。「スクリーンタイム管理会社をつくった人間でさえ、一定の制限を設けなければ、気づくとスクロールしていることがあります」
ほかに役立つ方法としては、スクリーンタイムを記録することが挙げられます。多くの人は自分が実際に使っている時間の長さに驚くことがあり、それ自体が使用習慣を見直すきっかけになることがあります。スクリーンタイムを、音楽、文章を書くこと、屋外で過ごすことなど、オフラインの活動に置き換えるのも、バランスを取り戻す方法の一つです。
変化が訪れる可能性がある
ベル氏は、すでに流れが変わり始めていると考えていると述べました。
「世界は、テクノロジーがもたらし得る悪影響に気づき始めていると私は思います」と彼は述べました。「将来の世代は振り返って、ドゥームスクローリングやソーシャルメディアに毎日多くの時間を費やしていたことを笑うかもしれません」
シュレンカー氏は、アルゴリズムの使い方について、別のあり方を思い描いています。それは、人々を利用するのではなく、人々に利益をもたらすように設計されたものです。
人々が本当に必要とする結果に合わせて最適化することもできるでしょう。不安を感じることなく必要な情報を得られ、時間を失うことなく人とのつながりを保ち、操作されていると感じることなく楽しめるような仕組みです。
人間とデジタル技術とのより健全な関係は、成り行きに任せるのではなく、意識的につくられるものになるとシュレンカー氏は述べました。通知に引き込まれるのではなく、自分の意思でアプリを使い、意志力が尽きた時ではなく、自分がやめようと思った時にやめる。そして、スマートフォンを使った後に疲労感や罪悪感ではなく、心地よさを感じられるようになることです。
ベル氏は、未来が今よりもバランスの取れたものになることを望んでいると述べました。
「私たちは、この過剰消費と過剰なコンテンツ制作の時代から学ぶでしょう」と彼は述べました。「そして、テクノロジーがどれほど進歩しても、人間として自然に生きることが最も価値のあることだと学ぶでしょう」
(翻訳編集 日比野真吾)
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