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諮問会議が歳出・歳入一体改革で本格始動

【ロイター6月1日=東京】経済財政諮問会議が「歳出・歳入一体改革」のとりまとめに向けて本格始動した。31日夕開かれた諮問会議で、とりまとめに向けた作業の手順を了承、高めの成長か保守的な成長かの成長率論争では「堅実な前提」に基づく確実な財政健全化を進めることなどを確認した。ただ、歳出・歳入一体改革の選択肢や工程表を盛り込む「骨太の方針」の取りまとめは、主要国首脳会議(サミット)前の7月上旬にズレ込む方向となった。

 
5月31日、諮問会議が歳出・歳入一体改革で本格始動。写真は与謝野経済財政・金融担当相。1月撮影(2006年 ロイター/Yuriko Nakao)
政府は当初、例年通り6月中の「骨太の方針」の閣議決定を目指してきた。しかし、自民党が主導している歳出改革の具体策作りが遅れ気味で、7月にずれ込む方向となった。

 諮問会議終了後記者会見した与謝野経済財政・金融担当相は「6月末のとりまとめに向けて最大限努力し、万が一ずれ込むことがあっても、小泉首相がサミットに出発する前の7月上旬には全て終える」と述べ、とりまとめ時期については政府・与党間、また経済財政諮問会議で合意したことを明らかにした。

 経済財政諮問会議は、自民党の歳出削減の具体策作りと並行して「歳出・歳入一体改革」の選択肢と工程表作りの作業に入る。

 民間議員が提案し了承された取りまとめ方針では、財政健全化と成長力強化を車の両輪として進め「ともに経済政策の最優先課題」とする。さらに「堅実な前提に基づく確実な財政健全化」を基本とし、景気情勢が厳しいときには柔軟な対応をする「弾力条項」的な考え方も含め「マクロ経済への付加を考慮し」対応を進める。

 また「潜在成長力の向上や税の自然増収がある場合は、財政健全化目標の前倒しを基本」とすることも確認した。

 2010年代初頭の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化達成に向けた検討作業の手順としては、(1)目標達成のための「要対応額」、(2)歳出削減の具体策──を固める。7月から本格検討が始まる来年度予算編成を重視し、歳出・歳入一体改革の考え方を反映させる。また、米軍再編問題や少子化対策など最近になって浮上してきた新たな財政需要には、基本的に既存経費の追加削減などにより財源をねん出して対応することを確認した。

 こうした歳出削減や政府資産売却でも埋められない「要対応額」については、歳入面の対応を検討することになるが、これが全て増税となるわけではないという。内閣府幹部は「成長戦略による自然増収に期待できる部分があるため、幅をもった議論になる可能性がある」と説明している。 

 焦点の要対応額については、諮問会議で2011年度に20兆円程度のギャップが生じるとの試算もあるが、自民党はより少ない額を想定している。当面は要対応額の試算が一つのヤマとなりそうだ。

 また、与謝野経済財政担当相は31日の経済財政諮問会議終了後の記者会見で、消費税の名称を将来「社会保障還元税」とすることをひとつの考え方として提案していることを明らかにし、歳出・歳入一体改革の増収措置として消費税増税を検討する際に目的税とするほうが国民の理解を得やすいとの考えを示唆した。消費税の社会保障目的税化をめぐる議論も活発になりそうだ。

 (06/06/01 09:53)  





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