3日前のこと。NHK番組『日曜討論』で、加藤勝信厚生労働大臣と5人の専門家により、新型コロナウイルスによる感染拡大とその対策について、集中した討論が行われた。
▼「日本はどう対応するか」に主たる論点がおかれていたことは、日本のテレビ番組であるからやむを得ないとしよう。5人のゲストが、それぞれの専門分野から提言されていたことも、概ね傾聴に値するとは思う。
▼しかし一点において、大いに落胆せざるをえなかった。番組の冒頭、NHKの女性アナウンサーが「中国衛生当局の発表によると」として中国国内における9日時点での死亡者数、感染者数を伝えた。その後に、6人による討論が始められたのだが、出席者の誰一人として「その数値は信憑性に欠ける」という指摘をしなかったからだ。
▼討論の前提となるデータに誤謬や疑いがあれば、まず出席者が指摘すべきであろう。中国衛生当局というのは「中国国家衛生健康委員会」のことだろうが、その数字を鵜呑みにしていては、日本が今後採るべき対策さえ誤る恐れがある。
▼大紀元の各報道は、すでに繰り返し伝えているように、中国国内の感染者数、死亡者数は、中国当局の発表をはるかに上回るとしている。元来が隠蔽体質であり、情報操作は彼らの常套手段である。自宅に追い返した患者の死亡数まで、医師はカウントできない。
▼筆者はもちろん戦後の生まれだが、戦前戦中を経験した人なら「大本営発表」という言葉を、特殊な語感として記憶しているだろう。それを乱発しているのが今の中国政府だと見たほうが、現状を理解しやすい。