法学者 袁紅氷が語る反日デモの深層にある原因

【大紀元日本ネット4月23日】(大紀元記者駱亜取材報道)中国の自由主義法学者 袁紅氷教授は、先日オーストラリアのシドニーにおいて新著《金色的聖山》《回帰荒涼》の発表会を行った。発表会に際し、現在中国各地で発生している反日デモについての考えを伺った。

記者:袁教授、最近国内で発生した反日デモは89年以来最大規模のデモであったと言われています。こうした状況が起こった原因は何でしょうか?

袁:多くの有識者がこの点について自らの見解を述べています。彼らは、現在の反日の潮流は、実際のところ中共当局がコントロールしたものであり、彼らが煽動し、発動したものであると考えています。その直接的な目的は、中国が共産党脱退の潮流に対処すること、「九評共産党」の発表後、中国大陸、とりわけ共産党内部で深刻な危機を惹起している事態に対処することなのです。

さらに深層にある原因は、中共政権が全面的にファシズム化していることを示す明確なシグナルです。中国における現在の政治危機、経済危機及び社会危機は、全てが爆発の臨界点に達していますが、どうすれば解決できるのでしょうか?以前は共産党内部における改革開放を通じた改革が試行され、こうした真の改革によって危機を緩和する可能性がありました。しかし、現在、内部の自己改革によって平和的転換を実現できる可能性は基本的に失われました。彼らがこうした改革を実行する能力はすでに失われており、彼らのなすことは全て彼らの全体主義的専制統治を継続することに向けられているのです。彼らの考える出口はまさにこの一つ・・・全面的ファシズム化なのです。

記者:デモは中共当局がコントロールしたものとお考えですが、より具体的にお話いただけないでしょうか?

袁:私は中国大陸の友人と非常に多くの交流があり、この件について非常に関心があります。以前、あらゆるデモは、中共から見て、社会の安定に影響を与える行為であり、その全てが禁止されていました。しかし、今回の反日デモは、かえって学校の団組織(共産党青年団委員会)や学生会の支援を受けたのです。

現在、中共がファシズム化していく傾向がますます顕著になっています。以前の大学インターネットの封殺(学外者の訪問の禁止、実名登録による発言を強制)から現在の新唐人テレビの衛星中断事件まで、そして、先日可決されたいわゆる反分裂法から現在の反日の大潮流まで、さらには今年成立する可能性の高い緊急事態法・・・こうした兆候は、中共がファシズム化への全面的な準備をしていることを示しています。

中共のファシズム化はこのようなプロセスをたどるものと予想できます:まず、国内で極端な民族主義感情を煽動し、次にこの極端な民族主義感情を利用して対内的あるいは対外的な戦争を発動します。中国全体を戦争状態に突入させる中、機に乗じて口実を見つけ、緊急事態法に基づいて緊急事態を宣言するのです。一旦緊急事態が宣言されると、中共は人権の保障に関するあらゆるコミットメントを無視することができます。これによって3つの目的を達成することが可能となります。第一に、中共は人々の預金その他有価証券等の形で保有されている財産を剥奪することができます。第二に、異論者、法輪功信者、地下キリスト教会のメンバー、党内の反対派等々を大規模に逮捕・虐殺し、ますます先鋭化・深刻化しつつある政治危機を解決することができます。第三に、緊急事態法を通じて全中国人の行動の自由を制限し、社会危機を解決することができます。

これらは中共が全面的ファシズム化を通じて達成しようとしている目的です。しかし、歴史は最終的に独裁者に対して厳しい懲罰を下します。彼らが上述のロジックに従って発展を続けるとすれば、中国は新たな、そして大きな災難の過程へと入っていくでしょう。以上は、中共当局がコントロールした反日デモから私が連想したことです。

記者:現在、国内では矛盾が激化し、危機があちこちで発生しています。中共は、反日感情を鼓舞してデモを行わせることで、民衆が機に乗じて中共への反対に立ち上がってしまうことを恐れてはいないのでしょうか?

袁:中共が今回煽動した反日デモは、厳密にコントロールされた上で実施されたものです。武装警察が私服を着てデモに参加していたというニュースを目にしますが、私の認識では、今回北京で行われたデモに参加した組織は、皆学校における中共の組織によって厳格にコントロールされたものであり、民衆が自発的に参加したものではありません。しかし、火遊びをする者は、必ずその火が自分に燃え移ります。中共は自分がうまくコントロールできていると思っているようですが、最終的にうまくコントロールできるのかどうか、中共にその能力があるのかどうか、それを語るのは困難です。

記者:今回の反日デモは、外資系企業に対してどのような影響があるでしょうか?

袁:中共は、一方で狡猾であり、一方で極端なまでに間抜けです。彼らは、歴史が自分のロジックに従って発展していくと思っています。しかし、事実はそうではありません。例えば、以前の反分裂法によってEUが武器輸出の解禁を短期間のうちに解除することはなくなりました。人々は、皆中共が非常に間抜けなことをしたと考えています。しかし、彼らはその間抜けさのままに、自分のロジックに従ってファシズム化の方向に向っているのです。彼らが盛り上げた反日感情は、必ず外資の投資、ひいては台湾その他の華僑の投資に直接的な影響を及ぼすでしょう。こうした間抜けなロジックは、必ず中国に巨大な災難をもたらすでしょう。

もう一つ、外資の中国投資による本当の利益は決して多くありません。特に、多くの香港の投資者は、中国において苦境に直面しています。外国の投資者の多くは、中国の権力市場経済を全く理解していません。腐敗官僚と関係を結ぶことによって彼らの生存が保障されるのであり、台湾系企業も同様の問題に直面しています。中国における、いわゆる市場経済には公平な競争という概念が根本的に欠けています。外資系企業による中国投資がもともと危険な状態にある中、現在の反日デモを通じて彼らが目の当たりにしたのは、中共がいつでも社会をコントロールし、外資に対する脅威を作りだすことができ、中共は経済発展の規律から見て外資が投資をする対象では決してないということなのです。

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