シンガポール当局、IMF大会期間中抗議活動を禁止

【大紀元日本9月20日】国際通貨基金(IMF)と世界銀行の年次総会が14日からシンガポールで幕を開けた。非政府組織(NGO)や市民団体、一部のメディア関係者はIMF・世銀との対話集会に出席する予定だったが、シンガポール政府が一部の関係者の入国を拒否したため、抗議活動の開催をめぐって、論議が繰り広げられている。

NGO関係者によると、27に上る団体の代表者の名前がブラックリストに載せられており、対話集会に参加する予定の日本人1人を含む17人がシンガポール・チャンギ空港で入国を拒否され、強制送還された。また、24人に入国を認めないとする旨の知らせがあったという。シンガポール当局は、いかなる抗議活動をも厳重に取り締まる姿勢を示し、「必要と判断した場合、軽武器を使用する可能性がある」と言明した。世界銀行の総裁ポール・ウォルフォウィッツ(Paul Wolfowitz )氏は、このようなシンガポール当局の決定に対し、改正を求めている。IMFの常任理事ロドリゴ・ラト(Rodrigo Rato)氏は、「3年前に、シンガポール当局は理解備忘録に署名したが、今回の当局の行動はこれに違反する恐れがある」とコメントし、一部の参加者の入国が拒否された理由について、賛同できないと述べ、「人々は皆、自分の声を発する権利を有している」と語った。一方、会議に参加する一部の非政府組織も、合同で会議側に異議を申し出ることを検討している。

会議期間中は、毎日約一万人の警官と軍人が24時間体制で市内の警備に当たっている。警察当局は大会の報道センターで記者会見を開き、活動家への入国拒否について、彼らが安全基準を満たしていないと説明し、マスコミの報道は事実ではないとして、報道の撤回を要求した。

今回、抗議活動への対応が、論議の焦点となっている。シンガポールでは、市内でいかなる抗議活動も禁止という規定があり、今回の大会期間中に、当局が定めた抗議できる場所は、一ヶ所の8メートル四方の空間だけで、2万4千人が参加する巨大な会場の裏門に位置し、赤緑の警戒線が張られている。会議が正式に始まった15日には、この抗議区域は、多くの警察に囲まれ、抗議者はほとんどいなかった。活動家らは、このような定められた狭い抗議空間に驚きの色を隠せなかった。

このような状況の中、シンガポール民主党の関係者は、会議期間中に市内の講演できる区域で抗議活動を行うことを予定している。一方、警察は、民主党の幹事長・徐順全氏の抗議デモの申請を却下した。それに対し、徐・幹事長は、当局がデモやその他の抗議活動を全国範囲で禁止する政策を批判、「我々は(抗議を)継続していく構え、…世界は必ず事実を知ることになる」と述べた。徐・幹事長はこれまでに、許可を得られないまま講演を行ったため、3度にわたり合計約2ヶ月間監禁されていた。今回の行動について、同幹事長は、再度逮捕されることを覚悟していると語り、AFP通信の取材に対して「これ(抗議活動を行うこと)は我々の権利である。彼ら(警察)はやるべきことをやればいいのだ。我々はこの国家の公民として、権利を勝ち取るために引き続き抗争していく」と主張した。

民主党の抗議行進を遮断する警官の隊列(大紀元)

一方、現地では、法輪功学習者らが中国大使館の付近で、中共政権による集団迫害に平和的に抗議活動を行った際、「侮辱的な文字」が含まれているとの理由で、シンガポール警察に告訴された。今回の大会が開催される前、警察は「いかなる抗議活動を行っても、深刻な結果を招くことになる」と法輪功学習者に警告している。

シンガポールの初代首相・李光耀氏は2004年に公正かつ清廉な政治文化を有していると宣言した。一方、国内外の活動家は、当局の行動が、この宣言とまったく異なっていると指摘している。大会が現地時間20日に閉幕するまで、抗議活動の進行状況が注目されている。

(記者・辛慧)
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