靖国参拝問題を追及せず、対日政策急転の中国

【大紀元日本11月27日】このほどベトナムで開催されたAPEC会議で、安倍晋三首相は中国共産党の胡錦涛総書記と会談を行った。会談の席上、胡錦涛・総書記は日本を訪問する意向を示し、これまで中国側が日中関係において常に問題にしていた靖国参拝問題には言及しなかった。中国当局の対日本政策の急転について、海外の中国民主活動家は、「中国当局の目的は、日本に弱腰外交政策を継続させること。場合によっては日本が日米同盟から離脱することを狙っている」と指摘した。

今回の会談は安倍晋三首相が10月に中国を訪問してから、日中首脳にとっては二度目の会談となる。ここ五年間、中国当局と日本の関係は冷え込み、両首脳は訪問を控えていた。中国当局は、中日関係の悪化の原因は小泉純一郎・前首相の靖国神社参拝であると主張した。しかし、今年10月に安倍首相が北京を訪問する際に、中国当局は盛大に歓迎し、これまでに問題にし続けてきた靖国神社や、台湾などの問題についても譲歩した。

中国当局による対日本政策の急転について、中国民主運動海外聯席会議の主席・魏京生氏は大紀元の取材で、「中国当局の目的は、日本に弱腰外交政策を継続させること。場合によっては日本が日米同盟から離脱することを狙っている」と指摘、これは中国当局の罠であると警鐘を鳴らした。

胡錦涛総書記の訪日願望

安倍首相は今回のAPECでの会談の席で、再度、胡錦涛総書記の訪日を提案した。それに対し、胡錦涛総書記は感謝の意を表し、外交ルートで調整していくことを示した。中国外交部の報道官劉建超氏は、中国当局は日本訪問に積極的な姿勢でいると表明した。BBCの報道によると、明らかな変化が見えた両国関係に、メディアの注目が集まった。

安倍晋三首相は小泉前内閣閣僚で、小泉前首相の靖国神社の参拝を支持し、自らも参拝をしていた。首相就任後に、安倍首相は靖国神社問題について明言を避け、現時点までに参拝問題に関する意見発表を控えている。今回APECに参加した日本の政府関係者によると、双方は靖国神社問題についての議論を交わさなかったという。

日本との関係改善を急ぎ、大きく譲歩する中国

今年10月、安倍首相が北京で胡錦涛・総書記と会談した後、双方は「日中共同プレス発表」を公表したが、靖国神社や台湾問題には言及しなかった。

日本国内のメディアも中国当局の尋常でない行動に気づいた。朝日新聞は11月2日のコラムで、中国当局は日中関係において、一貫として歴史と台湾問題を両国の政治の基礎としてきたと指摘、中国当局は各国の首脳と会談する際にも、必ず相手国に台湾問題に関する意見表明を要求してきたという。例えば、10月の安倍首相が訪中した直後に、フランスのシラク大統領も中国を訪問した。共同記者会見で、シラク大統領は一つの中国の原則を強調した。

安倍首相が中国首脳陣と会談した後、台湾問題のような重要議題を日中共同プレス発表に取り上げなかったことについて、朝日新聞のコラム記事は、胡錦涛・総書記は日中関係を改善するために、敏感な問題に執着せず、考慮したのではと解釈した。

魏京生:中国当局は、日本の弱腰外交政策を必要としている

中国民主運動海外聯席会議の主席・魏京生氏は大紀元の取材を受ける際に、「多くの政治家とジャーナリストは、中国の譲歩は罠であるとみている」と明かした。

魏京生氏は、安倍首相の政治信条は右よりであり、小泉首相よりもさらに強い姿勢で臨むと外部は認識していた。この現状は中国当局の目的と反するため、「中国当局は、日本が引き続き弱腰の外交姿勢を保つことを願っている、場合によっては、日米同盟から離脱するような国になってほしい」と分析した。

「中国当局の譲歩は罠であり、安倍首相が将来右寄りの政策を実行すれば、中国は日中関係が悪化する責任を安倍首相に押し付け、安倍政権にとって、これは非常に強い圧力に働き、特に日本の産業界は 安倍首相に強い圧力をかけるはず」という。

魏氏は、その後ろの原因は中国は戦争で国内の危機を転嫁しようと図っていると分析、中国当局の台湾攻撃の条件として①ロシアの支持②NATOと米国が根本的な意見相違を生じる③弱い外交政策を講じる日本国の三つを挙げた。

地理や、経済、政治などの要素により、日本は朝鮮半島および台湾海峡の情勢において、重要な役目を果たしている。米国はここ数年日本との軍事協力をさらに強化し、台湾を日米安保条約の対象にリストアップしている。陳水扁・大統領は最近の発言の中で、日米台の安保体制を構築するよう呼びかけている。

(記者・王珍)
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