フィリピン・パラワン州知事ら、中国漁民の領海侵犯行為に抗議

【大紀元日本12月30日】香港の漁船がフィリピンパラワン州領海を侵犯し、保護指定の海洋生物を密漁したとしてフィリピン海軍に拘束されている案件で、パラワン州の各界指導層は28日、中国漁民の長年に渡る領海侵犯と密漁行為に強く抗議する宣言に署名した。背景には、中国漁民が拿捕されても中国外交部の圧力ですぐに釈放され密漁行為を繰り返している現状があり、フィリピン政府の弱腰外交に批難が高まっている。

中央社によると、12月21日、船員30人を乗せた中国船籍の香港漁船「海運号」が、パラワン州領海を侵犯し密漁した容疑で、フィリピン海軍に拿捕拘束され、船上の活魚1200尾を押収されたが、そのうち300尾は絶滅を危惧されている品種であった。

これに対し、パラワン州の地方政府と各界の指導層が連名で、「中国国民は厚顔無恥にも我が国領海を侵犯し、フィリピンの漁業権と水質資源を盗み取っているだけでなく…中国漁民は密猟しているだけでなく、ツバタハ海洋保護区における絶滅品種である海亀と海洋哺乳生物にも危害を及ぼしている…」と宣言しこれに署名した。

同海洋保護区は、東南アジア最大の珊瑚礁生態地区で、国連が認定した唯一の海洋世界遺産だ。

宣言が引述した資料によると、1995年から2006年までに、中国の漁民600人がフィリピン領海を侵犯、パラワン州の同海洋保護区で拿捕拘束されている。いずれも、活魚、保護生物の密漁、種を根こそぎ採る漁法、保護区内での機器操業などが罪状だ。

しかしながら、パラワン州の官民領袖が嘆くのが、これら拿捕された中国漁民の多くが、中央マニラ政府と中国外交部の意向で簡単に釈放されることだ。結果、中国漁民は何の恐怖も臆面もなく再度領海侵犯をすることになる。

パラワン州議会のアスバレス(音訳)議員はさっそく、同宣言書をマラカニアン宮殿に送付したが、アロヨ大統領は次期開催予定の第12次・東アジアサミットをみて、今回の拿捕案件については沈黙を守っている。

東アジアサミットは、2007年1月にセブ島で開催の予定で、これには中国の温家宝首相も出席し、マニラを訪問する予定だ。

駐フィリピン・中国大使館はこのほど、中国漁民を拿捕したフィリピン当局の合法性について口頭で照会したが、世界動物基金のフィリピン支局長によると、中国大使館は中国漁民のこうした不法行為を看過していっこうに指導していないという。

同支局長は、「中国は貿易と国内の衛生面で多くの不良な記録がある。中国海軍は十数年前に南極でペンギンを射殺しているし、工業都市では公害が蔓延、疫病の対策処理にも透明性がない。フィリピン政府は決して弱腰で対応してはいけない」と警鐘を鳴らした。

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