林保華:日中関係の火と氷
【大紀元日本4月4日】北京「両会」(全国人民代表大会と政治協商会議)が終了し、春の暖かさの中で開花が始まる頃、中国の指導者らはあちこちを駆け回って外遊、外交活動を行っている。3月下旬、胡錦濤はロシアを訪問し、また4月下旬には、温家宝が日本を訪問し、春の桜を見るための最終便に間に合わせるようである。
温家宝は、両会の記者会見において、今回の訪問を「氷を融かす旅(融氷之旅)」にしたいと語った。用いた表現が「融氷」で、「破氷(氷を砕く)」ではなかったことから、彼にとって、日中関係がそれほど悪いわけではなく、「氷凍三尺、非一日之寒(厚さ3尺の氷は1日で出来たものではない=悪い結果はその原因が長期に渡って積み重なった結果であるとの意)」ではないことは明らかである。まして、昨年10月には、日本の安倍首相が中国を訪問してもいる。しかし、日中関係に「氷」が存在しており、あまり順調とはいえないため、温家宝が日本に行ってこれを「温」め、更に融かしていくことが必要なことも確かである。
少し前に、温家宝の訪日期間を5日から3日に短縮するとの報道があり、その後、中国外交部が短縮はしないと述べたことがあったが、この背後で一連の争いがあったことが伺える。想像できることとして、安倍が慰安婦は強制でないと語ったことが中国側の不満を惹起したということである。中国が慰安婦に同情しているということは決してない。なぜなら、中共自身が、婚姻、軍婚(解放軍軍人との結婚)を組織的に手配したり、“旧中国”の踊り子、妓女を辺境の中共軍人に宛がったりしたが、これも、ある程度「慰安」的性質を帯びているからである。もちろん、日程短縮という中国側の脅し、あるいは何らかの利益取引によって、日本も何らかのコミットをし、当初の日程を回復させたのは当然のことであろう。