民間伝説:老道士とガマ人間

【大紀元日本8月31日】昔々、山東省のある村の南端に大きな湾があった。大きな湾の北には、小さな山のような大きな盛り土があり、盛り土の上には道観があった。この道観には、老いた道士が住んでいた。

猛暑が迫る六月のある晩のことである。老道士が、敷地内のもっとも高いところで涼んでいると、湾の水面から突然に凶悪そうな妖怪が現れた。顔はガマ蛙のようで、体は人のような形をしており、これこそ人々が言い伝える人を食う凶悪なガマ人間だ。ガマ人間は、金切り声を挙げて、「食べちゃうぞ~食べちゃうぞ~、明日耳が四つある人が来たら~」などと言っている。老道士は、凶悪なガマ人間が明日人を食べてしまうと知って、この耳が四つある人を救おうと決心した。

あくる日、老道士は、耳が四つある人を救うため、湾の近くで待っていた。昼ごろになり、太陽は焼けつくように熱くなった。このとき、北の方から、鍋を日除け帽子代わりに頭に被っている人がやってきた。この鍋、山東の人が炒め物をするのに使う鍋で、両側には取っ手があり、山東の人たちはこれを鍋の耳と称していた。老道士は一見して、この鍋を被った人こそ、耳が四つある人だと分かった。

耳が四つある人は、大きな湾のそばまで来ると、気温が暑すぎるため、鍋を放り出して湾の中で体を洗おうとした。老道士は、急いでこれを阻止し、耳が四つある人に湾の中で体を洗わせなかった。耳が四つある人は怒り、老道士を地面に押し倒すと、容赦なく蹴り上げ、鍋を頭に被って、大手を振って去っていった。

人は迷いの中にある。救ってもらってもこれを知らず、かえって恩を仇で返してしまう。しかしとにもかくにも、老道士は耳が四つある人を救うことができ、喜んで、その夜はぐっすりと熟睡した。

凶悪なガマ人間は、人にありつけずイラついた。それが老道士のせいだと知ると、怒って多くの泥を掬い上げ、容赦なく老道士の家門に投げつけた。翌朝、老道士は門を開けるのに一苦労した。

その後、この老道士は、凶悪な人を食うガマ人間を排除することができたという。

(正見ネットより転載)

(翻訳・甘樫)