防衛省は6月17日、中国共産党(中共)海軍の空母「遼寧」と「山東」が今月に入り日本周辺で活動した際の詳細な航路を公表した。防衛省が他国の軍艦の航路をここまで詳しく公開するのは極めて異例であり、2隻の空母による活動が長期間にわたっていることが背景にあるという。
海上自衛隊は、令和7年6月8日から16日にかけて、中共海軍の空母「遼寧」と「山東」など複数の艦艇が太平洋上を航行し、両空母から艦載機の発着艦が確認されたと発表した。また、護衛艦「むらさめ」「いかづち」「はぐろ」による警戒監視と情報収集も実施された。

発表によれば、「遼寧」は5月下旬に沖縄本島と宮古島の間を通過し、フィリピンの東方まで南下した後、北上して6月7日には日本の排他的経済水域(EEZ)に入った。その後、西に進路を変え、沖ノ鳥島南方の海域を航行した。この間、艦載機やヘリコプターの発着艦が約550回確認されたという。

一方、「山東」は6月7日に沖縄県宮古島の南東約550キロの海域を航行し、9日には艦載戦闘機やヘリコプターの発着艦が確認された。その後、沖ノ鳥島周辺を時計回りに航行し、16日には硫黄島南東を西に進むなど、活動期間中に約230回の発着艦があったとされる。

また、両空母から発進した中共軍機が海上自衛隊の哨戒機に異常接近する事案も発生しており、日本政府は中国側に抗議を行った。防衛省は情報収集や警戒監視を強化しており、今後も動向を注視する方針である。
今回の詳細な航路公表について、防衛省は「空母2隻の活動が長期化しているため」と説明している。17日時点で両空母は中国本土方面に向けて航行しているとみられ、防衛省は引き続き警戒監視を続けるとしている。

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