日本は現在、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している。この状況下において、政府は防衛装備移転を「我が国にとって望ましい安全保障環境の創出などのための重要な政策的手段」であると位置づけている。したがって、この防衛装備移転をさらに推進していくことが必要であると政府は考えている。
12月15日の記者会見において、木原官房長官は、防衛装備移転三原則運用指針の見直しについて、政府として「早期に実現するべく」検討を進めていく方針を示した。
この見直しに向け、同日(12月15日)から自民党と日本維新の会による与党協議が開始され、いわゆる「五類型」の撤廃などに向けて議論が進む見通しである。政府は与党の議論の逐一にコメントすることは差し控えるとしつつも、引き続き与党とも相談しながら検討を進めていくとしている。
防衛装備移転の拡大に伴い、与党内からは新たな「歯止め策」の導入を主張する声もあるが、政府は、見直しに当たっての基本的な考え方を今後も維持していく考えである。
これまでの防衛装備移転は、三原則に基づいて「個別の案件ごとに厳格に審査」され、「移転後の適正管理が確保される場合に限って移転を認め得る」としてきた。木原官房長官は会見で、政府は、たとえ運用指針を見直して移転を推進する方向へ舵を切ったとしても、こうした基本的な考え方は今後も維持していく方針であると述べた。
今後は、与党協議でどのような具体的見直し案が示され、政府がどのようにそれを実現に結びつけるかが焦点となる。政府の「早期実現」への意欲は強いことから、安全保障環境の変化に対応するため、運用指針の見直しは速やかに進める方針だ。
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