南北首脳会談に秘められた思惑とは…

【大紀元日本10月3日】ソウル側の恒常的な停戦の希望を受けて、北朝鮮の金正日総書記が2日午前、ピョンヤンに慮武鉉大統領を迎えサミットの準備に入った。

BBCなどによると、南北首脳が会談するのは、朝鮮戦争から数えて50年来、わずかに二回目だ。慮大統領は、「経済的な繁栄を前提とした平和交渉」を狙っていると明かしたが、実際1950-53年の朝鮮戦争自体は、正式に終結したわけではなく、ソウルは恒常的な停戦を図りたい意向だ。今回の会談が歴史的会談となるか否かは、この一点が焦点になるものとみられる。

韓国の慮大統領は、今回の会談に先立ち、ソウルを自動車の車列で出発、実業界の指導者、官僚、聖職者らなどを訪問団として引き連れてきた。車列は、非武装中立地帯で止まり、慮大統領と権良淑夫人は、南の指導者としては初めて、徒歩で北朝鮮に入国した。

慮大統領は、「平和」と「繁栄」と記された黄色いテープを越えると、「より多くの人が、私の後に続くことを望む…この38度線は徐々になくなり、壁もなくなっていくだろう…」との希望を口にした。

平壌に到着した慮大統領の一行を迎えたのは、カーキ色のジャンパーを着込んだ金総書記と熱狂的に手を振る平壌市民らであった。慮大統領はその後、招待所に案内され、3日から金総書記と正式な会談に入るものとみられる。

南北の首脳が会談したのは、2000年の平壌サミット以来だ。当時、金総書記はソウル訪問を約束したが、これはまだ履行されないままだ。南の指導者として、初めて北を訪問した金大中大統領は、その太陽政策でノーベル平和賞を受賞した。

それ以来、南北縦断鉄道が、その親善友好のシンボルとして建設され、また一方では南北に分断された家族が、短期間ながら再開する機会も与えられるようになった。しかし、南の聖職者らは、行き過ぎた北への援助が、かえって貧しい北朝鮮の孤立主義を変に助長し、人権状況の改善にかえって邪魔になったと指摘している。

また一部の北朝鮮ウォッチャーは、金総書記に南北統一の意思があるのかどうか疑わしいとしている。彼らによると、金総書記は、国軍の軍事力を維持し、その圧力で南から援助を引き出したいだけだという。

韓国の慮大統領は、国内で支持率が急落しているだけに、「単なる人気取り」と見る向きもある。慮大統領は、任期終了が間近であるが、国内の保守派勢力が12月の大統領選に先立ち、下馬評では先行しているからだ。

こういった韓国国内の政局を睨み、慮大統領は、北に対して「微妙な」経済譲歩をして、何とか共同声明に漕ぎ着け、点数稼ぎに入りたいという見方だ。しかし、一方で南の高官に「うっかり北に近付くと危険だ」という意識があるのも事実だ。

今回の会談では、どのような協議事項も正式には発表されなかったが、北の核問題と拉致被害者の問題は、直接に話し合われないものと見られ、六者協議に持込まれるものとみられる。それにしても、南の直接の懸案事項である「核」と「拉致」が話し合われず、経済的な譲歩のみが話し合われたら、それこそ外国からは「南北会談のミステリー」と映るだろうし、韓国政府の支持率凋落にも歯止めが掛からなくなるだろう。

(翻訳:青嵐)
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