【ショートストーリー】タイキョクさん
【大紀元日本12月3日】ある村に、古寂びた祠があった。どれぐらい古いのかというと、村の古老が、「その祠のある神木が、村人三十人が手をつないでやっと一周できるくらいだから、え~と数千年前なのかもしれない・・」というぐらいで、誰一人として知る由もなかった。
村はずれの鎮守の森の中にひっそりと佇むこの祠には、奇妙な神様が祀られ宿っていた。病に苦しむ者が、病気平癒を願い祈ると、まずはたちまち重篤になり、それから嘘のように快癒する。貧困に悩む者が豊かになろうとして祈ると、たちまちにして生計の道を断たれ、食うや食わずの極貧生活になるが、その後、生業を起こして栄える。嫁姑問題で悩む婦人が家庭の平和を祈ると、家庭内で孤立して暇を出されそうになってから、姑が急逝しという具合に最悪の状況から一転して吉に転じる。そのため、村人は皆「タイキョクさん」と呼んで、これを畏れ敬っていた。
この不思議な霊験を目の当たりにしていたある男は、欲目が入って魔がさした。元来、何の不自由もない暮らしぶりであったが、小賢しい知恵を働かせ、「・・・この神は、要するに天の邪鬼のようなものなんだ・・祈ると逆の結果になるのだ・・そうだ・・」と一計を案じた。
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