四川大地震:被災地にさらなる危険、北川上流ダム決壊の恐れ

【大紀元日本5月19日】中国四川省で発生した大型地震の後、震源地の汶川上流のダムは危険な状態に陥っている。地質学者は被災地ダムが一旦決壊または地滑りで泯江を遮った影響で山津波を引き起こす可能性が高いと警告した。そのほかに、北川県を横切る湔江上流はすでに地滑りによって堰と湖を形成し、5月14日昼に、湖水が溢れ出て、脆弱な堰はいつでも決壊する可能性があると警告した。

*北川県上流堰、いつ決壊してもおかしくない

今回の大地震でもっとも深刻な被災地である北川県は、同県を横切る湔江の上流は地滑りによってできた堰で形成した湖は、5月14日にすでに湖水が溢れ出ていて、脆弱になった堰はいつでも決壊する可能性がある。これに対して、数千人の救急隊員は同日に、情報入手後30分内で全員は北川県から撤退した。

「京華時報」によると、大地震によって両側の山が崩れ、北川県城はほぼまるごとに土砂に埋まってしまったという。地滑りはさらに湔江の上流で堰を形成し、短時間で大量の土砂は渓谷全体を埋まってしまい、湔江を遮り、川の水が上流に止められたため、北川県城より数十メートルも高い湖が形成されたという。

地震発生2日目、多くの専門家は北川県の状況を分析し、地滑りで出来上がった堰に対して、連日の雨によって水位が急増し、堰自体が緩んでいるため、いつでも決壊する可能性があると懸念した。

堰が一旦決壊すれば、高さのある堰から洪水が一気に流れ出ると、地震に壊滅させられた北川県城に対して、さらなる致命的一撃を与えてしまうことになる。まだ瓦礫に埋まれている生存者も全滅し、一変して死亡者数に変わるのだ。

情報筋によると、現在では、湖水はすでに堰から溢れ出ていて、絶え間ない余震は続けて山崩れを促し、堰の一部が緩くなっている。北川中学校に設置された前線指揮センターでは、関係者が救助方策を緊急に講じるようになったという。

*汶川上流ダム、決壊する可能性あり

一方、汶川大地震発生後、高さ156メートル、容量が9億6300万立方メートルの紫坪鋪ダムを含む泯江上流にある一部のダムは亀裂が生じた。中国著名地質学者・范暁氏は携帯電話のショートメールで、「紫坪鋪ダムに亀裂が生じていて、建物等が倒壊陥没し、避雷設備も倒壊し、発電機設備も全部稼動停止になっている」と発信した。

新華社によると、目撃者は地震発生時に紫坪鋪ダム周辺の山から大量の落石が発生したという。また、このダムの水位が猛烈に増加し、山の上の村が瞬間的に土石流に飲み込まれたという。

報道によると、汶川県に所属する四川アバ・チベット族自治州政府秘書長はメディアに対して、もっとも危険な地区が汶川上流の幾つかのダムだとし、泯江上流に重要なダム・図龍ダムも亀裂が生じていて、決壊の可能性が高いと示した。

四川省独立地質学者・楊勇氏は米VOA放送局に対して、今回の地震の影響は汶川上流ダムに対して危険な状態をもたらしているとし、泯江上流の部分川は土石に遮られている可能性があるとし、一旦決壊すると、都江堰および下流の成都平原に甚大な被害をもたらすと警告し、状況を把握して対策を講じるよう呼びかけた。

*地震がダムに対する影響、ダムが地震をもたらすことを重視

楊氏は、三峡ダムの所在地は汶川地震被災地とは異なる地震地区だとし、今回の地震は三峡ダムに波及したが、大きい影響はないと示した。しかし、地震がダムへの破壊およびダムが地震を促す可能性に対して、はっきりと認識をすべきだと示した。

楊氏は「地震およびダム建設の関係について、さらに研究する必要がある。今回の地震を通じて、大規模の発電所建設に対しての警告ともいえよう」とダムが地震をもたらし、地殻の応力を引き起こす変化は存在していると示した。

これまでに、前出の范暁氏も地質地理環境の影響および地質災害リスクをもたらすことを無視した水利建設プロジェクトを非難した。さらに、泯江に建設された紫坪鋪ダム等の水利プロジェクトのリスクに対して警告を発した。范氏は、泯江上流はこれまでにマグニチュード7以上の強い地震および大規模の山崩れが発生し、川を遮りダムが決壊した歴史背景を提起し、畳渓、松潘大地震に類似することが繰り返していれば、深刻な結果になると警告した。

1933年8月25日、四川省畳渓鎮で震度7・5の強い地震が発生した。1976年8月16日および23日、四川省北部松潘、平武の間では震度7・2の強い地震が2度相次いだ。上述地震は半径数十キロメートル範囲内で地勢変化をもたらし、地震後数日または数週間の内に、深刻な洪水による2次災害が発生し、多くの農地および村が埋もれ、大勢死傷者をもたらした。

(翻訳/編集・余靜)
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