ダイ族に伝わる神の「天地創造」

多くの民族に、が土で人類を創ったという神話がある。例えば、漢民族には女媧が泥を捏ねて人間を創ったという伝説があり、ダイ(イ+泰)族にも同じような伝説が伝えられている。

 ダイ族の伝説によれば、天と地ができたばかりの頃、地上には人類、動物、植物は一切なく、禿げた土地と茫々たる海水しかなかった。

 そこで、最も上の神が、ふたりの神に仙ひょうたんを持たせ、地上に行かせた。神たちは仙ひょうたんを割って開き、空と大地にひょうたんの種を蒔いた。一瞬で、空に太陽、月、星が現れ、大地に森林と様々な植物が生えた。

 しかし、まだ地球上に人間はいなかった。そこでふたりの神は、自分の姿かたちを模倣し、泥土を捏ねて人間を創った。ひとりは男性、もうひとりは女性にした。神は男性と女性にと活力を与え、日光と風雨の洗礼を受けさせ、その上夫婦とさせた。

 泥人形は活人となったが、言葉がなくてはつまらない。そこで神たちは、ふたりに言葉と思惟を教え、また「人」と命名した。神の指導の下、ふたりは徐々に労働、生活と休養を覚えた。

 神は続けて、泥土を捏ねて、馬、牛、羊、豚、犬、鶏、鴨、虎、豹、狼、麂(キョン、哺乳類ウシ目鹿科)、鹿、鳥など何万種類に及ぶ野鳥野獣を創った。それぞれに名前をつけ、いろいろな鳴き声や、吼え声などを教えると、それらを海と森林に放した。この頃から 海には魚、蝦、蟹、貝類などの水生動物が生息し、陸地にはさまざまな動物、昆虫が棲息するようになった。
 

(翻訳・リントン)