習慣・直感・失言=三者関係から見る湖北省長の失言

【大紀元日本3月28日】ある億万長者は成功の秘訣を聞かれた時、「良い習慣を身につけることだ」と答えたらしい。果たして、良い習慣はどのように成功に導くのだろうか。アメリカの心理学者がこのような実験を行ったことがあるという。被験者にいくつかの課題を「直感」と「熟考」の2つの手法で意思決定してもらい、その結果を比較した。その結果、シンプルな課題の場合、「熟考」がより良い結果を生んだのに対し、複雑な課題を解決する場合は「直感」の働きがより良い結果に導いたという。

ここで言う「直感」について、経済本の名ライター、マルコム・グラッドウェル(Malcolm Gladwell)が『Blink . The Power of Thinking Without Thinking』(邦訳:『第1感「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』)という本の中で、ものごとは学習や経験、つまり生活習慣や思考習慣などの「習慣」によって決められるものだと指摘した。良い「習慣」の持ち主は往々にして正しい「直感」を巡らせ、結果として成功を手に入れる。反対に、悪い「習慣」の持ち主は咄嗟の出来事を前に、日頃の習慣を反映するような「直感」が働き、愚行のような行動に移すことが多い。

その端的な例として、先日北京で終わった「両会」での湖北省李鴻忠省長の失言が挙げられる。人民日報の記者が湖北省で起きた官僚の不祥事について質問した際、李省長は激怒し、「君は本当に人民日報の記者なのか?党の喉舌(宣伝機関)じゃないのか?君のようなやり方ではどのように世論をガイドするのか?」とこの記者を叱り飛ばし、同記者の持つレコーダーまで奪い取ったという。

李氏は今までの政治家人生で、「両会」のような場で記者から厳しい質問が飛び出ることに慣れていなかったのだろう。ましてや相手は党の宣伝機関、人民日報の記者だ。李氏の「共産党政権60年以来、人民日報は党の支配下にあり、党の声しか発してはならずで、『雑音』は決して許されないものだ」という思考習慣が、この想定外の場で直感となって働き、思わぬ大醜態を演じてしまったのだ。彼の失言はまた、人々に政治家の隠された思考習慣に気づかせ、世論の憤りを買い、討伐の声を招いた。

人は新たな学習や経験を通し、より良い習慣が得られ、人生の道も開けて来る。社会全体も自ら歴史や外国に学ぶことで、思考モデルが進歩していく。一方、進歩を拒む「悪習」は、進歩した社会の中では滑稽に映り、人々から軽蔑され、討伐されるようになるのだ。

(翻訳編集・心明)
関連記事
人口約740万人の香港では、中共ウイルス(新型コロナ)の感染者が急増している。衛生当局によると、2月28日に3万4466人の感染者が新たに確認され、死者は87人。1日の感染者数としては過去最多となった。
改革開放以来、中国でかつていなかった超富裕層が急ピッチに増えた。中国共産党(以下、中共)は一時、彼らを体制に迎え入れ、歴代の最高指導者も彼らの心を和ませる言葉を贈ったり、中共の仲間になったと思い込ませた。しかし、幸せな日々は終わりに向かっているようだ。
カタールの放送局アルジャジーラの独占調査レポートで公開した、密かに海外移住した人の多くは中国共産党の最高意思決定機構「両会」のメンバーであることを明らかにした。
中国当局は現在北京で両会(全国人民代表大会と全国人民政治協商会議)を開催している。当局は過去最高レベルの維穏(社会安定の維持)態勢を整えている。一部のネットユーザーによると、国内の携帯電話の通信速度を4G(第4世代)から2G(第2世代)に変わった。専門家は、中国当局はネット規制のため、意図的に通信速度を低速化したと指摘した。
中国では年一度の政治行事である両会(全国人民代表大会と全国人民政治協商会議)の開催を迎えた。3月3日中国当局の国政諮問機関、全国人民政治協商会議(政協)第13期全国委員会第2回会議が北京で開幕した。中国共産党中央政治局常務委員で、党内序列4位の汪洋・政協主席は同日、2000人以上の政協委員に向けて活動報告し、中国共産党政権は現在「様々なリスクと課題に直面している」と強調した。