老いた船舶王の息子

【大紀元日本7月4日】ある国の年老いた船舶王は、息子に後を継がせる時がきたと考えた。しかし、息子が果たして船舶王としての度量があるかどうか、思い悩んでいた。あれこれと考えた末、船舶王は民衆に対し「我が息子が後継者としてふさわしくない点、つまり彼の『短所』を聞かせてほしい」と呼びかけた。

もちろん集まってきたのは息子のよくない点を指摘する声ばかり。「息子さんは苦労していない」とか、「経験がなくて父親とは比較にもならない」「自己管理ができていない」などなど。息子への非難を銃弾のように浴びることになってしまい、船舶王は頭を抱えてしまった。

船舶王は教会に行き、牧師に悩みを打ち明けた。牧師は「あなたの悩みの原因は、あなたの心にある」と話し、彼を諭した。

「私が一代で築いたものは、いまや国の経済に影響するほどの大きな船会社だ。これまで自分が体験してきた苦難や障壁に、息子は耐えられるだろうか・・・」 実は、息子を弱い者、度量のない者として決めつけていたのは、父親である自分だった。

教会から戻った船舶王は、今度は逆に「息子の『長所』を挙げて欲しい」と民衆に呼びかけた。

翌日、「船舶王の息子は聡明で一生懸命働く」「問題点をすぐに発見できる」「人々とすぐに仲良くできる」といった明るいメッセージがたくさん届いた。船舶王は数日間で息子の長所をたくさん知ることができた。

息子はその後、父の後を次いで船舶王となり、会社をさらに成長させて著しい実績を上げたという。

中国古人の言葉に、「子どもの短所を10挙げるより、長所を1つ挙げた方がよい」というものがある。親に褒められた子がよく育つというのは、古今東西、同じなのかもしれない。

(著者・可欣、翻訳編集・豊山)
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