NASAの衛星データから見る「赤い」中国

【大紀元日本10月12日】「赤」という表現は、冷戦時代に共産主義色の中国を言及する際しばしば使われてきた言葉だったが、70年代末の改革開放から中国の共産主義イデオロギーがポルノー(黄色)氾濫と深刻な腐敗(グレー)などで隠されるようになったため、共産中国を危険と見なさなくなった自由国家では言及されなくなった。しかしアメリカ航空宇宙局(NASA)の衛星データを利用して最近、測定制作された全世界の大気粒子濃度を表す地図は、再び世界へ毒素を広める中国の「赤」のイメージを、浮き立たせている。

この地図は、カナダのダルハウジー(Dalhousie)大学研究員のアーロン・バンドンカラー(Aaron van Donkelaar)氏とランダル・マーティン(Randall Martin)氏が、NASAの衛星データを利用して測定制作したもの。汚染された世界の地域をブルーから赤までの色で表示している。中国の部分は血液よりも濃い赤色が占めており、中国の大気汚染が世界中で最も深刻であることを示している。

アメリカ航空宇宙局(NASA)による全世界大気汚染状況の地図

地図のデータは2001~2006年のものであるが、ウォールストリートジャーナル(Wall Street Journal)7月の報道によると、中国の大気汚染は改善されるどころか、引き続き悪化する一方である。

中国では、工業生産に使う燃料は主に石炭であるが、石炭の排気ガスは埃のほかに、ボイラの性能や石炭の品質などによって、排気ガスの色が違う。完全に燃焼すれば色が白くなり、そうでなければ黒くなる。特に北方では、冬になると家庭暖房に使う石炭が大量に消耗されるため、夕方4~7時の間、都市を離れた近い山に登って見ると、都市が見えなくなる場合がほとんどである。白いシャツを着ると襟がすぐ黒くなってしまう。

中国では、「改革開放」政策の実施に伴い、工業発展のみならず

グラフ:1978~2007年間車両増加の時系列

、車の使用量も急増している。『中国統計年鑑』によると、1985年から車両の使用量が急増し、2003年までの期間、平均して6年に一回倍増してきた。2007年になると4358.36万輌に達し、ほぼ4年間で倍増した。

中国の都市では車の排気ガスも大気汚染の主な原因となっている。2008年北京では、オリンピック期間に大気汚染問題を解決しようと、車の走行量を半分減らしたが、大気汚染の解決にはあまり役に立たなかった。

地図の解説によると、地図上、赤が最も濃い部分は大気粒子の濃度が最も高い地域であり、この部分にあたるところは中国東部の工業地区である。具体的には、主に北京、天津、山東省がその地域にあたる。

この地域の住民はどうやって生活しているのだろうか。新鮮な空気を呼吸するためには、恐らく故里を後にするしかないだろう。しかし場所を変えれば新鮮な空気は吸えるかもしれないが、中国の環境汚染は空気だけではなく、水質汚染も並大抵なものではない。中国の第二の大河と言われる黄河下流の山東省大汶河岸の肖家店村は、水質汚染のためすでに「癌村」となっており、2000~2004年、癌を起因とする年間の死亡率は50%を超えている。

「新鮮な空気を吸い、新鮮な水を飲む」ためには、恐らく国外脱出しかないのだろう。

作者プロフィール

内モンゴルで生まれ、1989年延辺大学で修士号取得、その後8年間地元で環境保護の仕事に携わった。1997年来日、2003年東京工業大学で博士号取得。現在日本企業に勤務。

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