カダフィ、武力弾圧の正当化に「天安門事件」を引き合い

【大紀元日本2月25日】リビアの最高指導者カダフィ大佐は現地時間22日未明、国営テレビで演説したときに、自らの武力弾圧を正当化するため、中国の「六・四天安門事件」を引き合いに出した。中国問題の専門家からは、このタイミングでのこの発言は、民主活動家の活発な動きを封じ込めようとしている中国当局にとって望ましい発言ではなく、当局の神経をさらに尖らせるだろう、と分析している。

カダフィ大佐は同テレビ演説で、自国のいまの情勢を中国当局が武力弾圧した1989年の大学生民主運動「六・四天安門事件」に例えて、中国の統一は少数の抗議者の主張よりずっと重要であることが証明されたとして、自己の武力弾圧を正当化した。そして、演説の最後に、カダフィ大佐はデモを徹底した武力弾圧で封じ込める姿勢を改めて示した。

ラジオ自由アジア(RFA)は、「閣僚が武力弾圧に抗議して辞任を表明し、軍が弾圧実行を拒否するなど、カダフィ大佐への包囲網が狭まる中、同大佐のこの演説がどれほどの脅し効果があるかは不明だが、リビア情勢に神経質になっている中国当局に圧力をもたらすであろう」と伝えた。

かつて中国の情報・外交機関に務めていたネット作家・楊恒均氏はRFAの取材に対し、「カダフィ大佐のこの発言は計算尽くである。なぜ中国を引き合いに出したかというと、中国当局は当時大学生を武力弾圧したが、いまでは世界各国はみな中国当局に気を使っている。だから、私が武力弾圧を行ってどこが悪いのだ、ということだ。この発言は、中国当局を困らせている。コメントするどころか知らないふりをするしかないだろう」と述べた。

カダフィ大佐の発言は中国で報道されていないが、ネット封鎖を乗り越えた一部の国内のユーザーからはさまざまな反響が寄せられている。

「中共が22年間、ずっと隠蔽して風化させようとしている天安門広場での大規模な武力弾圧事件を、カダフィ大佐は国際社会が注目する中で、大声で再提起してくれた。なるほど、国民を武力弾圧する独裁者は皆同じ穴の蛆虫だね」「カダフィ同志よ、あなたはなぜ我々の古傷の膿に触れたのか。わが中国のイメージ宣伝のCMはこれでまた無駄になったのではないか。この飛躍しているスーパー大国の面子が保てなくなるのではないか」、「フェイスブック、ツイッターのような敵陣よりも、カダフィ大佐のような戦友のほうが怖いよ」

一方、RFAの関連報道は一部の専門家の意見として、「中国国内でリビアの武力弾圧の情報を遮断さえできれば、カダフィ大佐のこの発言は中国当局を困らせるどころか、むしろ、自分たちのやり方が他国に認められたと内心で喜んでいるかもしれない」と報じた。

(翻訳編集・叶子)
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