清明節に大学「集団外出禁止令」 ジャスミン集会警戒か

【大紀元日本4月5日】中国では4月5日は死者を弔う「清明節」。春めくこの季節に郊外を散策するという習慣も根付いている。しかし今年、中国当局はこの習慣に気を揉んでいるようだ。「散策」がジャスミン集会に変身することを恐れる当局は、清明節の休暇中に大学生が団体旅行するなどの集団外出を禁止することにした。

ラジオ自由アジア(RFA)の報道によると、遼寧石油化工大学で学生に出された公告は「休暇中に学生は規定日よりも早く学校を離れてはならない」としており、「いかなる形式においても団体での旅行は認めない」と明示している。

また、西北工業大学や大連海洋大学、湖北経済学院、武漢科技大学中南分校もいずれも集団での「禁遊令」が出されている。「私たちのクラスは今週末小旅行を予定していたが、この通達で計画が水の泡になった。みんながっかりしている」と、武漢科技大学建築学科の劉祥源さんは話した。

ラジオ・フランス・インターナショナル(RFI)はツイッター情報として、「禁遊令」が発令されてから、大学キャンパスでは監視や管理が強化されている、と伝えた。学生たちは、「禁遊令」が出された意図は当局のジャスミン集会への危惧にあると指摘する。

一方、北京大学では5月から、学業困難な学生やメンタル面が弱い者、「過激思想」を持つ学生を含む10種類の「重点学生」を対象とする「手助け」制度を始めるという。「過激思想」の定義は学校側によると、「学校経営の一部欠陥を誇大に取り上げる人など。たとえば食堂の値段がわずかに上がっただけで学校を批判する者」だという。

西北工業大学でジャスミン開花

中国でのジャスミン集会が呼び掛けられて以来、大学生の参加が絶えない。米中国語メディア・多維新聞網によると、3月20日には、中国の名門大学・西北工業大学の500名あまりの大学生が予定された集会時間に宿舍を出て、校内で無言の「散歩」を行った。当局は「除籍」を脅しに使って学生たちを宿舎に戻させたが、多くの学生は今後も続ける意志を表明したという。「民主がなければ、特権階級が仕事のチャンスを独占している。このまま大学で学んでも意味がない。卒業すなわち失業だ」と学生は話す。

なお、北京大学や清華大学では警察が校門に立ち、キャンパスの動静を監視している。

ジャスミンを恐れ 反体制のメディア人を排除

ジャスミン革命の波及を恐れ、中国当局はこのほど、メディア関連及び反体制派への弾圧を強めており、多くのメディア人が「辞職」させられている。「南都報」の長平・研究員、「成都商報」の龍燦・記者、「時代週報」評論版の彭曉芸・編集者などが含まれる。また、3月28日に、「南方週末」の著名な評論家・笑蜀氏も自らのミニブログを通じて、しばらく仕事を離れることを伝えている。

笑蜀氏執筆の「方舟評論」は「南方週末」のシンボル的コラムとして広く知られている。「彼の温和な批評も、メディア全体の厳しい風向きの中で瀕死状態に直面している」とラジオ・フランス・インターナショナルは述べた。

さらに、2月に「中国政府はエジプト革命の影響をあらゆる手段で防ごうとしている」と指摘した四川省の作家・冉雲飛氏が3月25日に、「中国ジャスミン革命を組織し情報を流布した」として、「国家政権転覆扇動」の罪で逮捕されている。

冉雲飛氏の逮捕について、四川省の人権活動家・陳雲飛氏は、「彼はただの文筆家。武器も金もなく、ペンだけで国家や政権を転覆させられるとでも言うのか?」と訴え、「政府は己を顧みるべきだ。言論の自由もなく、批判の声もなく、こんな政府が正常なはずがない」と語った。

(編集・張凛音)
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