<赤龍解体記>(19)北京の中央攻撃は胡錦涛の意図か

「北京日報」は6月13日、「党政官員は公民社会の発展を激励、支持すべき」という文を掲載し、注目されている。注目される理由は三つ。一つは本文の作者は胡錦涛のブレーンと言われる人物。二つはこの文章の矛先が中共中央政法委員会に向いていること。三つは地方紙で中央を批判するという異常である。

 ■「公民社会」は西側からの落とし穴

 5月16日、中共中央政法委員会の周本順秘書長が、中共中央機関誌「求是」に「中国的特色のある社会管理の新しい道を歩もう」という文章を発表した。

▶ 続きを読む
関連記事
「21世紀は中国の世紀だ」と中国人は気負う。文明史的な視点から見れば、このことばは自惚れの嫌いがあっても、必ずしも過言ではないかもしれない。将来、歴史的事実として証明されるであろうが、中国の台頭およびその影響力の増強は人類文明史の必然のステップであり、歴史の発展の大趨勢である。
中国の大学入試全国統一試験が6月7、8日に行われた。自分たちの運命を決める大事な時であるだけに、受験生たちはみな薄氷を踏む思いで各科目の問題を慎重に解いていくのである。
中共の権力中枢の中で、温家宝ほど争議多き人物はいない。埒を越えた言論をしばしば放つため、称賛される一方、物議も多くかもしている。
6月27日、英国を訪問した温家宝は、王立協会での演説で、ふたたび民主自由に言及し、政治改革の必然性を強調。中国の未来像を示した。昨年以来、10度目の政治改革に関する主張にあたる。
江沢民死去の風聞がなお飛び交う今、各方面の情報を総合して分析すれば、江沢民は確かに危篤状態に陥り、生き返る可能性はほとんどないと断言できる。
中国のことわざに、「石を持ち上げて自分の足を打つ」というものがある。人に損害を与えようとしたが、かえって自業自得になってしまうというたとえである。
来年開催の中共18大まで後1年あまりとなったが、中共の各勢力は昨年から臨戦状態に入り、明に暗に人事の攻防戦を繰り広げてきた。
7月23日の中国高速鉄道衝突事故が起きた後、鉄道省の後手に回った救援活動、安全を無視しつつ早急に運転再開したこと、衝突した車両を壊して土に埋めて証拠隠蔽を図ったことなどにより、一般人のみならず、メディア人も従来の体制維持を最優先するスタンスを捨てて、新聞や雑誌、テレビなどを通じて真相究明を求めつつ、鉄道省の理不尽な救援活動などを厳しく批判している。
前回の<赤龍解体記>は、中国高速鉄道事故でメディアとインテリの造反を取り上げたが、案の定、これらのメディア人は直ちに停職などの処分を受けた。