アフリカに殺到する中国商人、不満募らせる地元

【大紀元日本7月19日】中国のアフリカでの活動について「モラルのない悪質で攻撃的な経済競争相手、他利的な考えはない」といった印象を、米国アフリカ地区外交担当者は得たと、昨年2月にネット上でリークされた米国外交文書には記されている。米外交官の感じた、他利的ではない在アフリカ中国商人の手口とは、どういったものなのか。イギリス紙タイムスは、ジンバブエやザンビアなどアフリカ諸国で取材し、現地の商人らの不満の声を拾った。以下はその抄訳。

「ザンビア人は鶏肉が好きなんだ。しかし最近、地元ザンビアの鶏肉販売業者があまり見られなくなった」―。ザンビア首都ルサカ中心の市場にはトラック一杯に鶏を乗せてやってくる中国商人が増えている。大勢の中国人がアフリカで商売するため、ビジネスチャンスが奪われてしまった、と地元ザンビアの商人は至極不満に思っている。

同じ事情が他のアフリカ諸国でも見られる。約10年前、中国国有企業のアフリカ鉱業投資に伴って、中国商人はアフリカにやってきた。米エコノミストによるアフリカ開発銀行元役員への取材によると、過去10年間にアフリカに来た中国人の数は、過去400年間に来たヨーロッパ人の数よりも多いという。

当時、彼らは中国の企業だけという限定的なサービスを提供していたが、現在ではアフリカ各地で中国商人の姿が見られる。アフリカには安い中国製品が満ちるようになった、と地元消費者は話す。中国人の来訪は新しいビジネスの訪れだと、最初はアフリカ人も喜んでいたが、やがてどこの地域でも、低給料、粗悪な労働条件、質悪な製品を提供する中国商人を、嫌悪するようになった。

去年度の貿易総額は1200億ドルに達し、中国はアメリカを超えてアフリカ最大の貿易相手国となった。中国との貿易によって新しい学校、道路、病院、ダムが建設され、アフリカ経済の成長もある程度は刺激した。しかし「金持ちの政治屋」以外、アフリカの庶民は僅かなメリットしか得ていない、とナイジェリアの商人は嘆く。

関係者の話によると、中国当局は賄賂を贈ることでザンビアのバンダ大統領の連続就任を支えたという。国際刑事裁判所から「戦争犯罪」などの容疑で逮捕状が出されたスーダン共和国のバシル大統領の訪中については、国際社会から批判の声が上がった。

民衆の声を聞き、状況を深刻に捉えているナミビアの評論家は、「アフリカと中国の『ハネムーン』はすでに終わった。アフリカ各国政府は、今後、中国との更なる貿易を希望しているようだが、アフリカの民衆が強烈な不満を抱いていることに気づかないのか」と訴えている。

 (編集翻訳・王知理)
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