北京大教授、香港人「犬」呼ばわりに非難殺到 深い溝あらわに

【大紀元日本1月26日】北京大学の教授が「香港人は犬だ」などと発言したことで、香港の人たちの反駁や批判を浴び、大きく波紋を広げている。

発言した教授は、孔子の73代目の子孫と名乗り、たびたび口の悪さで物議を醸す北京大学の孔慶東氏。発言の発端となったのは、インターネットに公開された動画。香港の地下鉄内で子供にお菓子を食べさせる中国本土の女性に対し、周りにいた香港人が叱り、罵り合いになったというもの。香港では地下鉄内での飲食は禁止されている。

この動画について、孔慶東教授がウェブ動画ニュースサイト「第一視頻」の番組で、「こいつら(香港人)は英国植民者の走狗であることに慣れた奴らだ。いまだに犬だ。あいつらは人間じゃない」「我々の香港は復帰したけど、人心はまだ復帰してない。植民地主義者が残した犬どもがたくさんいる。あいつらは植民者の前では犬となり、本土同胞の前では狼となる」などと過激な発言を繰り返した。

さらに、地下鉄車内の香港人らが地元の広東語を話したことに対し、「中国人は中国語(標準語)を話す義務がある。わざと広東語しか話さない香港人は馬鹿野郎だ」などと暴言を吐いた。また車内で飲食する者に罰金を払う規定について、「法律により秩序を維持している所は、素質がない、自主性がないと証明しているのだ」と言い放った。

こういった発言に香港の人々の非難が集中した。香港メディアはこの問題を大きく取り上げ、討論し、ネットユーザーは教授に謝罪を要求した。政治家の中でも物議を醸している。

香港の有力政治家で、次期行政長官候補人のひとりである唐英年氏はメディアに対し、「法治は我々の核心的価値であり、香港人の多くは法を守っている。これは尊重するに値することであり、香港人の素質を表わしている。だからこそ我々は、このような言論を用いて人を描写することは出来ない」と述べ、さらに大学教授である孔氏は、教授としての品格を持つべきだと苦言した。

政協委員の劉夢熊氏は、孔慶東教授の発言は明らかに香港人を侮辱していると非難した。「孔教授は香港人に対し公に謝罪し、北京大学は孔教授を除席すべきだ。本土のテレビ局は二度と同胞の感情を引き裂くような、誤った彼の言論を放送すべきではない」と厳しく批判している。

今回の騒動は中国本土と香港が互いに持つ複雑な感情が根本にある。香港の人々が中国本土の人に対して優越感を抱いている一方、中国人妊婦による越境出産の急増で香港人の出産予約がままならないことへの鬱憤などが重なる。本土の人はまた、香港映画などに代表される先進の文化的な要素に憧れをもつ一方で、香港人の優越感への反感や、孔教授の発言の一節となる「内陸の人が旅行しに行かないと、あいつらはみな餓死してしまう」に代表されるおごりもある。

昨年末に香港大学が行われた調査で、香港で自らを「中国人」と考える人の比率が16.6%と、約12年ぶりの低水準を記録し、中国本土と香港との間の深い溝を物語った。

渦中の孔慶東教授は1989年の天安門事件の時、北京大学学生自治連合会常務委員として運動に参加していたが、その後、急激に左派化(保守派化)し、北朝鮮の制度やチュチェ思想の熱心な擁護者として有名。「共産党の御用達文人」という異名も持つ。

 (翻訳・坂本、編集・張凛音)
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