「両会」まぢか 暴力事件発生で20人死亡=新彊カシュガル

【大紀元日本3月2日】新疆ウイグル自治区の当局によると、2月28日午後6時ごろ、同カシュガル地区カルギリク県(葉城)で集団暴力事件が発生し20人が死亡した。事件発生後、中国政府は同事件を「テロ事件」と位置づけ、「個別的事件」と強調しながらも、ネット上で事件に関する検索を封鎖するなど早期の幕引きを図っている。

両会」(人民代表大会と政協全国大会)の開催を控える中、同事件は中央指導部に大きな衝撃を与えたもようで、これまで推進してきた民族政策が失敗に終わったと専門家は分析する。

 事件に関する異なる言い分

国営新華社通信は、28日の夜、同県市場で殺人事件が発生し10人以上が死亡し、警察は現場で少なくとも2人の容疑者を射殺したと報じた。

夕方6時頃に起きた重大な事件であるにもかかわらず、新華社の情報は28日深夜に配信された。新華社の報道では事件の原因や経過、組織性の有無などについて触れておらず、わずか143文字の情報を伝えただけという状況から、その慎重さがうかがえる。

一方、本部をドイツに置くウイグル人権団体「世界ウイグル会議」によると、当初、死亡したと報じられた12人のうち7人は現地の武装した暴徒集団であるという。

政府「人民日報」傘下の「環球時報」は、事件は新疆分裂を唱える国内の「テロリスト」による仕業で、偶発的な「個別的事件」に過ぎず、国内の政治情勢に影響するものではないとしている。

しかし、両会前に起きた同事件は中央指導部に大きな衝撃を与えたようだ。現在、国内外メディアの新疆入りを禁じているほか、現地政府メディアは簡潔な報道をしているのみ。マイクロブログ・微博やネット掲示板では、同事件に関する発言が禁じられ、「カシュガル」が検索不能なキーワードとなっている。

さらに、世界ウィグル会議によると、事件後、カシュガルを含む近辺三県から100人以上のウィグル人が逮捕されていると発表した。

ドイツ紙「フランクフルター・ルンドシャウ(Frankfurter Rundschau)」は3月1日付の記事で、「政府メディアとウィグル亡命組織の事件に関する記述が大きく異なっているが、この悲劇は微妙なタイミングで起きた。両会開催を控える中、政府は社会動乱に一層神経を尖らせているが、チベットで起きた一連の焼身自殺事件と今回の事件は天下安泰をアピールしようとする政府の苦心を台無しにしたに違いない」と述べた。

さらに同記事は「テロリストの関与を裏付ける証拠は政府から提示できていないが、政府による宗教への締め付けが年々厳しくなっているように見受けられる」と指摘した。

 民族政策の完敗か

世界ウィグル会議のスポークスマン・ディリシャット氏は、09年にウルムチで1000人近くの死傷者が出た7・5騒乱以来、北京当局はウイグル族の人々に対する弾圧が激しさを増す一方で、残酷な手段に多くのウイグル人が絶望し、極端な抗争手段に走ったと述べる。また、当局の高圧的な民族政策が事件を引き起こしたとの認識を示し、政府系メディアは新疆事件の根本的な原因について言及することを避けてきたとも指摘した。

新疆で事件が発生するたびに、中央政府は「テロ事件」と位置づけている。フランス在住の中国問題専門家・白夏氏は「これまで分裂分子による仕業と批判してきた政府は、今は『テロリスト』という言い方に変えている。世界の流れに乗り、西側諸国に理解されるようという狙いがある」と指摘し、「根本的な原因は『テロリスト』にあるのではなく、民族紛争によるものだ」と述べた。

 (翻訳編集・大紀元日本ウェブ編集チーム)
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