1分で読める故事成語(大紀元)

北朝鮮の「矛盾」【1分で読める故事成語】

【大紀元日本4月4日】

北朝鮮:外資導入に躍起 対外強硬姿勢と矛盾--中国国境・経済特区(毎日新聞 2012.3.19)

北朝鮮は、国際社会の非難の中、長距離弾道ミサイルと同じ技術を用いる「実用衛星の打ち上げ」を発表して対外強硬姿勢を示す一方で、中朝国境地帯で開発を進める経済特区の関連法全文をウェブサイト上で公表して、韓国を含む各国からの投資を積極的に呼び込もうとしており、同国の対外政策の矛盾が浮き彫りになっているという。

「矛盾」という言葉は、日本でもお馴染みの『韓非子』の次の故事に由来する。

楚の人に、盾(たて)と矛(ほこ)を売る者がいた。その人が盾をほめて言うには、「私のこの盾は非常に堅く、これを突き通すことのできるものなどない」。そして、矛をほめて言うには、「私のこの矛は鋭く、突き通すことができないものはない」。それを聞いていたある人が、「では、あなたの矛であなたの盾を突いたらどうなるか」とたずねたところ、その人は何も答えることができなかった。そもそも、いかなる物によっても突き通すことのできない盾と、何でも突き通すことのできる矛とは、同時に存在し得ない。(『韓非子・難一篇』より)

韓非子はこの故事を、儒家が中国古代の君主であった堯(ぎょう)と、堯から天子の位を禅譲された舜(しゅん)をともに聖人と崇めていることを批判する中で紹介している。儒家は、舜が世の中の悪いところを改め、良い行いをして人々を助けたから聖人だと言うが、悪いところを改めなければならなかったということは、そもそも堯が民をよく治めていなかったということであり、ならば、堯を聖人と呼ぶのはふさわしくない。逆に、もし、堯が聖人と呼ぶにふさわしい統治ができていれば、舜は悪いところを改める必要もなかったわけであるから、二人の君主がともに聖人であったというのは、話が矛盾していることになる。韓非子はこのことを言いたいがために、上の故事を持ち出したのであった。

(瀬戸)

関連記事
「類は友を呼ぶ」は、もともと気の合った者や似た者同士は自然に寄り集まるという意味ですが、後に、悪人が互いに手を結び、悪事をなす比喩としても使われるようになりました。
南宋の愛国詩人とされた陸游(りくゆう)は強硬な対金主戦論者であったため、官職を罷免され、故郷に戻りました。 ある日、遠足に出かけた陸游はどんどん先へと歩いていき、いつの間にか 人気が全くないところへ来てしまいました。斜面の上から見渡せば、前に川が流れ、山が立ち並び、すでに道がありません。
「顰みに倣う」の出典は『荘子』です。著者の荘子は道教の始祖の一人とされ、実は、『荘子』の中のすべての作品が荘子のものではなく、多くはその弟子や道教の者たちの作品です。
「投桃報李」は『詩経』「大雅・抑」から来ており、衛の第11代君主・武公が自分を励ますために作成した詩です。
「墨を金のごとく惜しむ」は、一筆もおろそかに書かない、あるいは、軽々しく筆を下ろさないことのたとえで、後に洗練の努める意として使われます。