大連に2つの死体工場 薄熙来・谷開来の関与が問われる

中国での囚人の臓器と死体の密売が、再び関心を集めている。世界各地で人体標本展(人間の死体を特殊加工した人体標本展示)を主催してきた米プレミア・エキシビション社が自社サイトで、展示死体は中国警察当局からの提供であることを認めた文面が中国のインターネットで話題となっている。一方、失脚して取り調べ中の重慶市元トップの薄熙来氏と殺人容疑を認めたその妻の谷開来被告には、人体標本の製造に絡んで、獄中で死亡した法輪功学習者の臓器と遺体の密売に深く関与していたとの疑いも強まった。

 米プレミア・エキシビション社の公式サイトに掲載中の免責声明文にはこのように書かれている。「展示されている死体は中国警察当局が提供した中国の公民・住民のものである。中国の警察当局は中国の刑務所から取得している可能性がある。これらの死体が刑務所で処刑された囚人のものでないことを、われわれ単独では証明できない」

 同社CEOのアーニー・ゲラー氏は、2008年2月15日放映の米ABCニュースの報道番組で、人体展で展示している死体は大連医科大生物塑化公司から入手したものだと説明しており、「合法的で、引き取り人のない死体」であるとしていた。

 ゲラー氏が言及した大連医科大生物塑化公司は死体加工会社で、その代表の隋鴻錦氏は、「人体の不思議展」を世界各国で開催してきたギュンター・フォン・ハーゲンス(Gunther von Hagens)氏に師事したことがある。ハーゲンス氏が1999年に大連で世界最大の人体標本製造会社「ハーゲンス生物塑化公司」を設立した当時、隋鴻錦氏がその会社の責任者であった。一年後、隋氏は独立して大連医科大生物塑化公司を設立し、プレミア・エキシビション社に人体標本を提供していた。

 つまり、世界の人体標本展で展示されている人体標本の多くは、大連市の2つの死体加工会社の工場が製作し提供したもの。2つの会社が設立された1999年と2000年の大連市トップは薄熙来氏だった。ハーゲンス氏は当時、国内外のメディアの取材に対して、「現地政府の支持、優遇的政策、格安な人件費、豊富な死体提供」などと設立の理由を挙げていた。ハーゲンス氏の死体加工会社は現在操業を停止しており、会社の正門には2012年2月29日付けの封印が貼られている。この日付は、重慶市元公安局長・王立軍氏が米国領事館に駆け込んだ2月6日や、薄熙来氏の解任が発表される3月15日とも重なる。

 また、大連医科大生物塑化公司の設立は薄熙来氏が自ら認可したものと香港紙・文匯報東北支社の元主任で、薄熙来氏に詳しい姜維平氏は証言している。さらに、この時期(1999年)から、遼寧省では薬物注射による死刑が推し進められ、中でも大連市、瀋陽市、錦州市は全国でも先頭を走っていた。この処刑法は遺体への損傷が少なく、また死刑囚かどうかの見分けも付かないため、非道な人体標本の製作に有利だと言われている。

この時期は江沢民前主席が法輪功弾圧を始めた時期とも重なる。薄熙来氏はその弾圧を強く支持・執行した一人だった。それにより、大連市は法輪功迫害がもっとも凄惨な地域の1つになっている。本紙(中国語版)が入手した情報によれば、薄氏とその妻の谷開来被告は現地の公安、裁判所、刑務所と結託して獄中で死亡した大勢の法輪功学習者の遺体を高値で死体加工会社に売り飛ばし、巨額な金銭利益を得ていた。ラジオ自由アジア(RFA)の15日付の報道によれば、死体標本一体あたりに100万ドル以上の売値が付くという。谷開来被告はこの取引の中で金銭管理や国内外の宣伝、販売ルートの開拓などを担当し、中心的役割を果たしており、谷被告に殺害されたニール・ヘイウッド氏はこの死体販売の秘密を知っていたという。

 RFAの報道では、法輪功学習者の遺体の売買および臓器狩りについて、取材に応じた中国政府機関の関係者王さんは自分の認識として、「中国でこのような臓器と死体の違法利用は十分に考えられる」と述べていた。

(翻訳編集・叶子)

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