台湾人男性、不当拘束から解放 電波ジャックの真意と身柄拘束の状況を明かす

2012/08/15
更新: 2012/08/15

【大紀元日本8月15日】「他の人と共謀し、専門設備で中国国内のテレビ番組の衛星信号を妨害した。その行為が刑法の関連規定に違反し、国家安全と公共の安全を脅かす犯罪の疑いがある」。このような理由で中国当局に2カ月近く身柄拘束された台湾人の鐘鼎邦さんは、11日、釈放され台湾に戻った。13日午後、鐘さんと家族は台北市内で記者会見を開き、電波ジャックに参加する経緯と身柄拘束中の状況などを説明した。

記者会見は台湾大学社会科学院の国際会議庁で開かれ、30社以上のメディアが参加した。

身柄拘束の詳細

6月15日、台湾新竹地区IT企業の幹部で、53歳の法輪功学習者鐘鼎邦さんは異母兄弟に会うため、中国江西省を訪れた。3日後の18日、台湾への帰途についた鐘さんは、贛州空港で警察当局に強制連行された。

記者会見で鐘さんは、2003年~2006年に中国国内の学習者に電波ジャック用の機材を郵送したことを明らかにした。「電波ジャックの手段で、中国当局の弾圧を受けている法輪功の無実を知らせるため」という。

また、当局に身柄拘束された54日間、いつも2人の看守がついており、繰り返し取り調べを受けていた。当局に協力しなければ、逮捕して台湾に帰れなくなるなどと脅迫されたという。鐘さんははじめのうち、ハンガー・ストライキを行った。「非常に強い精神的圧力を受けた」と彼は話した。

釈放後の公開声明文で、彼は「拘束期間中にサインした罪状を認める書類と供述書は、強要されたものである」と記した。

中国国内での法輪功関連の電波ジャックの背景

2001年1月、法輪功弾圧を正当化するため、中国当局は天安門での学習者焼身自殺事件を捏造した。「法輪功を習う者は自殺に走る精神異常者で悪者である」というイメージを国民に植え付けた。この事件が国内外で強い衝撃をもたらした。弾圧に反感をもっていた中国人の多くもこの事件を受けて、法輪功に嫌悪感と怨恨感情を抱くようになった。

一方、法輪功の関連書籍には、「人間は殺生してはならない、自殺してもならない」という教えが詳細に記されている。弾圧後、中国当局が全国範囲で法輪功の書籍を押収・処分したのも、法輪功に罪を着せる一連の捏造宣伝を隠し通すためとも指摘されている。

「親友までも、私がテレビ報道のように焼身自殺するのではないかと心配していた」と、1人の学習者はこう話した。

当時、全国の学習者は法輪功の無実を世に知らせるため、自作のビラを配ったりしていたが、彼らは投獄されて、拷問による死亡者も大勢いる。「私たちのすべての発言のルートがふさがれた」と関係者は語った。

このような状況下で、2002年3月5日、東北部の吉林省長春市でケーブルテレビの電波ジャックが行われた。上記の天安門自殺事件の数々の不審点を解析する映像などが流れて、約10万人の視聴者は法輪功の無実を知った。

法輪功の公式サイト「明慧ネット」の統計によると、事件直後に現地では5千人以上の学習者が逮捕されて、主要参加者とされる15人には4~20年の懲役刑、そのうちの8人は拷問により死亡した。

当時、ロイター通信は同事件について、「法輪功が行ったもっとも勇敢な行動の一つだ」と伝えた。

同電波ジャック事件で拷問により死亡した3人の学習者、左から劉成軍さん、梁振興さん、雷明さん(ネット写真)

鐘鼎邦さん「自分は正義の行為を行った」

鐘さんは今回の記者会見で、「中国国民に法輪功の無実を知ってもらい、その誤解と怨恨を解消させるため、電波ジャックに参加した」と説明、「これは正義の行為であり、中国人に知るべきことを知らせるためだ」と強調した。

中国国営新華社通信が関連報道で、彼は学習者であることや、法輪功の関連映像を電波ジャックしようとしたことにまったく触れなかった。そのことについて、鐘さんは、「法輪功に罪を着せている真相を国内外に知られたくないからだ」と指摘した。

釈放されて台湾に戻れたことについて、鐘さんは、「自分は非常に幸運だ。台湾と国際社会の大勢の方々の救援活動が私を救った」と話し、救援活動を嫌がる中国当局は、彼が家族にこれらの活動の停止を求めさせるよう強要していたことをも明かした。

救援に参加した一人の台湾弁護士は、「中国当局が恐れているのは、国際社会が電波ジャックの裏の背景を知ることだ。国際社会と台湾の正義ある人々の大規模な声援により、鐘さんは手を焼く厄介者だと当局は気づいた。そのため、彼を釈放したわけだ」と分析した。

法輪功人権問題弁護団のスポークスマン朱婉_qi_氏は弾圧の真相を知る国内外の人に対して、「みんなが中国国民に真実を伝えましょう」と呼びかけた。

法輪功(ファルンゴン)とは、中国伝統文化の一つである気功の心身健康法である。約20年前から中国本土で広まり、1999年弾圧される前には、1億人以上が学習していたと推定されている。それから13年間に及ぶ弾圧によって3500人以上が拷問などで死亡、数十万人は投獄されている。一方、現在、台湾では約50万人の学習者がいるという。

(記者・鐘元、翻訳編集・叶子)

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