ミャンマーが検閲廃止、中国の官製メディアが意見割れ

情報検閲の廃止が決まったミャンマー。写真は、ドイツ・ダブリンでの民主化を訴える活動(infomatique/Frickr)

【大紀元日本8月24日】ミャンマー情報省は20日、民主化改革の一環として、新聞などメディアに約50年にわたって実施してきた事前検閲制度を同日付で廃止したことを明らかにした。このニュースは、厳しい共産党の報道規制が敷かれている中国でも話題となり、党機関紙の人民日報と傘下の政論紙・環球時報は、これに相反する論調の記事を掲載した。

人民日報の公式サイト人民網は20日、ミャンマーの検閲廃止を好意的に捉える記事を掲載した。記事の中で、ヤンゴン市のある記者の話として「ミャンマーのすべてのメディア人にとって、今日は偉大な一日となった」と報じられ、「報道規制が徐々に緩和されている」と執筆記者の体験談を交えて紹介された。

人民日報は公式ミニブログでもこのヤンゴン記者の話を引用し、ネット利用者から賞賛の声が上がった。検索大手グーグルの元中国代表・李開復氏は「この言葉を掲載した人民日報は素晴らしい」、台湾紙・中国時報の北京駐在記者王銘義氏は「この日は人民網にとっても偉大な一日となった」とそれぞれ賛辞を送った。

一方、人民日報系列の環球日報は21日、「中国はミャンマーの改革を手本するにする必要がない」という論調の社説を載せ、「ミャンマーの改革はまだつぼみだ。中国の改革はすでに大樹に成長した。外見の違いで動揺するのならば、あまりにも幼稚だ」などと、「上目線」の発言をした。

さらに、中国の報道改革ははるかに進んでいるとし、「決してミャンマーやベトナムのような後進国家を手本にしてはいけない」と最後まで強気の姿勢を崩さなかった。

この社説は直ちに批判の的となった。あるネット利用者は「はるかに進んだ? 反対方向に進んだのではないか」と皮肉のコメントを寄せた。

また、「先進国家は国情に合わないと手本にしてはいけない。後進国家も手本にしてはならない。それなら、北朝鮮を手本にするしかない」

また、ミャンマーの検閲廃止をきっかけに、「中国のメディア人はいつこの偉大な日を迎えられるのか」と中国に報道の自由が訪れる日を心待ちにしている人も少なくない。

 (翻訳編集・高遠)
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