<赤龍解体記>(106)伝統文化を復興する中国人アーティスト、彼らを襲撃する黒幕は何

【大紀元日本2月25日】北米と豪州、台湾で中国伝統文化の旋風を巻き起こしている神韻芸術団の公演。観声をあげる観客たちは、祖国を離れた中国人アーティストたちが様々な困難を乗り越えて、命懸けで伝統文化の復興に取り組んでいるのを知る由もなかった。

ニューヨークに本拠地を置き、中国人アーティストからなる神韻芸術団は2007年から毎年世界ツアーを行っている。共産党政権下で失われかけている中国五千年の伝統文化を、古典・民間・民族舞踊や、音楽、歌を通じて表現。世界中のアーティストや観劇ファンから、「息を飲む」「目がくらむ」「奇跡」「心の宴」「鼓舞する」などと形容されるその舞台。2013年世界ツアーは昨年末に米国からスタートし、米国や、カナダ、豪州などの各大都市を経て今、台湾で上演している。主催者によると、9割強の公演はチケット完売の熱狂ぶりだ。

ワシントンの一流劇場ジョン・F・ケネディ・センターのオペラ・ハウスでの公演カーテンコールの風景(大紀元)

一方、歓声と花束の裏には、アーティストたちの知られぬ苦難も隠されている。

文化大革命など度重なる革命運動を通じて、中国の伝統文化や倫理道徳を破壊し続けてきた中国共産党は、神韻芸術団の伝統文化復興にきわめて恐れを抱いている。そのため、2007当初から、一部の開催国政府に団員の入国ビザの不交付を強要し、公演会場に「会場を貸すな」と圧力を講じ、関係者に匿名の脅迫電話をかけ、ネットで公演を誹謗中傷する情報を流すなどあらゆる手段で妨害してきた。無論、アーティストたちは中国共産党政権が存続する限り、祖国の地を踏むこともできない。

今年、状況はさらにエスカレートした。芸術団の移動用バスを破壊し、アーティストたちの命を狙おうとする事件が相次いでいる。

今年1月10日、アトランタでの公演期間中に、第一の事件が発生した。何者かが神韻芸術団バスのガソリンタンクを破壊した。幸い警備スタッフがすぐに発見したため、危機一髪で引火爆発の大惨事を防げた。現地警察当局はいま本件を捜査中。

そして、テキサス州のフォートワース市での公演期間中に事件が再発。2月20日朝4時ごろ、劇場の駐車場に停まっていた神韻芸術団のバスに、一台の大型トラックが接近。大柄の黒人男性が下車すると、素早くバスのガソリンタンクの蓋をあけて管のようなものを差し込んだ。近くで車両の警備に当っていたスタッフはすぐそれに気付き、「何をやっている?」と詰問したところ、男は「修理している」と答えながら、慌ててタンクに何かを入れようとした。不審に思ったスタッフが警察に通報している最中、男はトラックに乗り逃走した。駆け付けた警察が追跡したが、途中、男はトラックを乗り捨て逃走した。乗り捨てられたトラックにはナンバープレートがなかった。 逃走を制止するスタッフが危うくひかれそうになったことや、乗り捨てられたトラックは市場価値が7万ドル以上もすることから、警察当局は、これはただのガソリン窃盗事件ではないとみて、捜査を進めている。

過去に次のような事件があった。2010年1月、中国本土からのチケット注文が殺到し、完売状態であった神韻香港公演が、開始日が間じかに迫った時機に、中国当局の圧力により、香港特別行政区政府が、技術制作チーム全員の入国ビザ不許可を通告した。結果、神韻芸術団は香港公演を中止せざるをえなかった。 

今回の、これらのバス破壊事件について、現時点では、中国当局の関与はまだ確証されていないもようであるが、今後とも注目しなければならない事件である。

この現状について、ある中国問題専門家はこう語った。「古人は『道を得る者は助け多く、道を失う者は助け寡し』と言う。神韻芸術団に対するあらゆる妨害行為はいずれも失敗で終わったが、反対に神韻芸術団の努力がますます世界に認められている」

(呈工、叶子)