引き締めと緩和 中国の金融政策、微妙な舵取り迫られる

【大紀元日本7月5日】中国南西部の貴州省威寧県の全域が、工事現場と化している。「都市改造プロジェクトは2010年から30年まで実施する予定だ」。県の計画局の王春華局長はドイツ国際放送ドイチェ・ヴェレの取材に対してこう答えた。「都市部面積は現在の6倍までに拡大し、現代的インフラ設備を備える。湖を観光スポットとして開発し、駅やスポーツセンター、団地の建設も計画している。さらに、敷地が30平方キロにのぼる工業団地2つを建設し工場を誘致する。県全体の投資額は数十億元に達する見込みだ」と付け加えた。

ドイチェ・ヴェレ6月27日の報道は、威寧県で起きていることは中国各地で日常的に起きていると指摘。拡大しつづけるインフラ建設や不動産開発は大量な雇用を生み、中国経済をけん引してきたが、これらの開発資金の主な調達手段となる融資は大きな懸念材料となっている。

同報道は、上海興業銀行のアナリスト・鲁政委氏の話として、政府はすべての発展プロジェクトに出資し、住宅街を作り、農村住民を都市へ移住させているが「このような状況が続くと政府はすぐに財政難の窮地に陥る」と指摘。「2008年の金融危機の後に実施された景気対策では政府の債務残高を高止まりさせている」という。

米格付け会社フィッチ・レーティングスが6月に発表したレポートによると、中国の貸出残高が対国内総生産(GDP)の比率は200%に達し、今も上昇しつづけている。銀行が貸出を通して投資熱を維持するかたわら、シャドーバンキング経由の貸出も急速に拡大。またクレディ・スイスによると、企業と地方政府は監視の盲点となるところで高利貸しを行い、その総額は4兆元にも上るという。その中にどれほどの不良債権が隠されているかは不明だ。

こうした貸し方を絞り上げるため、中央銀行は6月、強硬な金融対策に踏み込み、新たな資金投入をやめ、貸し渋り状況を作り出した。多くのアナリストは、この措置は金融機関に対する警告であるとみている。資金管理を強化させ、シャドーバンキング取引をやめさせるよう金融機関を追い込んでいるという。

しかし、こうした措置は一定の効果はあるもののリスクも伴う。金融引き締めでは金利が上昇し、銀行の貸出が減少する。企業の倒産や経済成長の低下は免れない。政府が掲げる7%のGDP成長目標も達成しえなくなる。一方で、大規模な制限措置を取らなければ、さらなる深刻な債務危機を直面する恐れもある。中国はいま、このような進退両難の局面に立たされており、景気維持と市場安定維持の両面において微妙な政策バランスが求められている。 

(翻訳・林語凡、編集・張英)
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