中国、中東での影響力拡大 軍事や石油にとどまらず

【大紀元日本10月17日】中国は中東での影響力を拡大させつつある。今月初め、トルコは中国の企業とミサイル防衛システムの共同生産を協議すると発表。北大西洋条約機構(NATO)加盟国のトルコが米国や欧州ではなく、中国を提携先に決めたことは、「今後の傾向を示した」とロイターは分析した。

中国の同地域における影響力は経済、政治、外交、軍事と多岐にわたって拡大している。中国商務部(省)が先月発表した統計によると、中国とアラブ諸国との貿易総額は年間2220億ドルで、2002年の12倍に達している。これは米国の2011年の1930億ドルをさらに上回っている。

軍事面では、中国はインド洋で海賊対処に護衛艦3隻を配備しているほか、地中海にも艦船を派遣している。レバノンでの国連平和維持活動に取り組みながらも、同国やエジプト、ヨルダン、カタールなどの国々に、長年にわたって小型武器を提供している。

さらに今回、トルコが中国から34億ドルに上るミサイル防衛システムを導入することについて、元米政府幹部でジョンズホプキンス大学高等国際関係大学院(SAIS)の研究員クリスティーナ・リン氏は「中国はますます中東に踏み込んでいる」とみて、「我々への警鐘だ」と危機感を示した。NATO加盟国も、中国の防空システムは既存のNATOのシステムとの互換性に欠けるうえ、NATOのシステムがサイバー攻撃を受けるリスクが高まることを懸念している。

中国政府は貿易と政治を結びつけることに長けていると専門家はみている。中国の高官がたびたび中東を訪問し、トルコやイスラエルの首相、パレスチナ自治政府大統領、ヨルダン国王らも昨年から相次ぎ中国を訪問している。

こういった背景には中国の高まる資源需要があると指摘されている。国際エネルギー機関(IEA)は、中国が中東から輸入する原油は2011年の日量290万バレルから、2035年には670万バレルに増えると見込んでおり、原油総輸入量の54%を占めるという。

サウジアラビアは中国にとって最大の石油供給国であり、中国はまた、イランにとって最大の石油輸出国である。中国の購買力は同地域での影響力を高め、イランの核問題など同地域をめぐる協議では、中国に強い発言力を持たせた。

中国の野心は軍事と石油に限らない。米国・中東間貿易の75%がエネルギー関連であるのに対し、中国の同比率は50%以下。9月15日、寧夏回族自治区では中国-アラブ諸国博覧会も開催され、習近平国家主席が書面で祝辞を寄せたほか、兪正声全国政協主席(中央政治局常務委員)が基調講演を行うなど、中東重視の姿勢を前面に押し出した。

中国は西部大開発政策にともない、トルコや中央アジアと結ぶ鉄道の建設も視野に入れている。現代版シルクロードとも呼ばれるこの陸運ルートができれば、中国の商品はよりスムーズにヨーロッパに入ることができるという。

(翻訳編集・張凛音)
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