中国の対米「政治攻勢」孔子学院も一環か 米シンクタンク警鐘を鳴らす

【大紀元日本10月25日】アジア太平洋地区を研究する米民間シンクタンクは、中国人民解放軍は米の対中政策や世論を左右する政治的な攻勢を仕掛けていると、米政府へ警鐘を鳴らす報告書を発表した。米国の海外向け放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)が23日に報じた。

 報告書は、アジア太平洋地区の政治的勢力などを研究する「プロジェクト2049研究所(Project 2049 Institute)」が14日に発表した。それによると、この中国の戦略を担当しているのは軍総政治部だという。海外の親中団体への資金提供や情報提供者の募集など、いわゆる「中国の友人」などの手段を通じて対米の政治的戦略を実現させようとしていると、報告書は指摘する。

 さらに、両国の退役将校が参加する座談会を開催することもその手段の一つだという。2008年、海南島三亜市で行われた座談会(三亜イニシアティブ)に、前アメリカ統合参謀本部副議長ウィリアム・オーウェンズ氏が招かれた。同氏は米国防省及び米議会に対して、中国は米国にとって脅威ではないと主張した。

 報告書作成者の一人、マーク・ストークス氏は「三亜イニシアティブ」は軍総政治部による対外政策プロジェクトの一つだと警告する。解放軍の政治戦略ターゲットである台湾を中国の一部という「一つの中国」を認めてもらうことが北京側の意図だと、同氏は分析する。

 また米ニュースサイト「ワシントン・フリー・ビーコン」によると、米中経済安保調査委員会は昨年、米議会に「三亜イニシアティブ」を主催した中国国際友好連絡会は人民解放軍総政治部の対外工作機関であるとの報告書を提出したという。

 中国の戦略は、伝統的な外交活動とは異なり「中国の友人を作り、敵を瓦解させる」ことを指導策とし、情報収集及び外交を通じて、国際間のルールに新解釈を加えることや普遍価値以外の理念を押し進めることだと、報告書は分析している。一例として、中国の一党専制は民主政治体制の代わりだという。

 さらに、海外各地に設けられた「孔子学院」も中国の政治攻勢の一環であるとし、著名な論客に影響を与えることによって中国の政治的、軍事的利益を守ろうとしている。

 報告書は米政府に対して、中国が仕掛けてきた政治的戦略に対策を講じるよう呼びかけた。

 

(翻訳編集・余靜)
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