高市首相の解散意向と「サナエノミクス」の行方 片山財務相会見

2026/01/19
更新: 2026/01/19

片山財務大臣兼内閣府特命担当大臣は16日、閣議後の記者会見において、高市総理大臣による衆議院解散の意向表明や、進行する円安への対応について政府の見解を示した。政局が流動化する中、経済政策「サナエノミクス」の正当性と、通貨防衛への強い意志を強調する内容となった。

衆議院解散と予算成立への懸念

会見の中で片山大臣は、高市総理が日本維新の会の吉村代表らに通常国会での早期解散の意向を伝達したことに言及した。片山大臣は「総理からも、さはさりながら内閣はあるのであって、きちっと仕事をしていかなければならない。ビジネスは重要であるということを言われている」と述べ、自身もG7から帰ってきたばかりで、すぐにスイスでのダボス会議へ出席するなど、政府としての職務を粛々と遂行する姿勢を強調した。

一方で、解散総選挙の実施により、来年度当初予算案の年度内成立が困難となる可能性が高まっている。これに対し片山大臣は、過去の事例やオペレーションを参考にしつつ、国民生活に負の影響が出ないよう「最善の努力」を行うとしたものの、具体的な対応については国会との相談事項であるとして明言を避けた。

「責任ある積極財政」とサナエノミクス

解散風が強まる中、市場では財政悪化への懸念から金利上昇や円安が進んでいる。これに対し片山大臣は、高市政権の掲げる財政政策は「責任ある積極財政」であり、単なる「膨張財政」ではないと強く反論した。

片山大臣は、現在の予算案について、GDP比の規模や公債依存度は過去と比較して低く、一般政府の財政赤字幅もG7(主要7カ国)の中で最も小さいと説明。その上で、高市総理が掲げる「サナエノミクス」の本質は、供給力を強化するサプライサイド経済学(供給側の経済学)に力点があり、これによって強い経済と将来への希望を示すものであると訴えた。

日米連携による円安牽制

進行する円安については、直近の訪米でベッセント米財務長官と会談した成果を強調した。両大臣は、最近の為替市場の動きが経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)を反映しておらず「行き過ぎである」との認識で一致している。

片山大臣は、日米の合意には為替介入も手段として含まれているとし、「あらゆる手段を含めて断固たる措置をとる」と市場を牽制した。また、米国との協調介入の可能性についても、条件がついていないオープンな状態であるとし、排除されないとの見解を示した。なお、ベッセント長官による金融政策への言及については、過去の政権運営に対する持論であり、現在の金融政策への直接的な介入ではないとの認識を示している。

今回の会見の背景には、高市政権下での積極財政路線と、それに対する市場の反応としての「悪い円安」への警戒感がある。また、政治的には自民党と日本維新の会の接近が示唆される一方で、野党側では立憲民主党と公明党による「中道連合」の動きが出るなど、政界再編の兆しが見え始めている。解散総選挙は、これらの政治的対立軸と「サナエノミクス」の信認を問う大きな局面となる。

解散総選挙の日程が確定すれば、政治空白期間が生まれることは避けられない。当初予算の年度内成立が見送られれば、政府は「暫定予算」の編成を余儀なくされる可能性が高く、国民生活や経済活動への一時的な影響が懸念される。 また、選挙期間中に投機的な円売りが加速した場合、政府・日銀が実際に為替介入に踏み切るかが焦点となる。片山大臣が示唆した「米国との協調」が現実のものとなるか、あるいは口先介入にとどまるのか、市場との神経戦は選挙戦と並行して激化すると予測される。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。