メルケル首相、清華大学で講演 人権を提唱するも中国メディアは無視、歴史問題で日本批判の狙いも

ドイツメルケル首相は8日、北京の清華大学で行った演説で人権問題や言論の自由などに言及し、民主主義の大切さを改めて強調した。しかし、多くの中国メディアはこの内容を報道せず、ドイツの歴史認識問題に焦点をあてた。英BBC中国語版が報じた。

 旧東ドイツの共産政権下で生まれ育ったメルケル首相は「25年前、旧東ドイツで平和革命が起き、ベルリンの壁を崩壊させたため、私たちは自由に対話できるようになった」と語り、「私にとって中独の人権対話が非常に重要だ」と発言し、自身の経験を取り上げながら、大学生らに人権と民主主義の重要性を訴えた。

 フランス通信社(AFP)は8日付の記事で、「メルケル首相とは対照的に、最近中国を訪問したほかの欧米諸国の指導者らは、中国との貿易関係を重視し、中国の人権問題を避けていた」と同首相の発言を称えた。

 一方、演説後に行われた質疑応答では、「第二次世界大戦の歴史についてドイツはなぜ、日本と違った認識を持っているか」との質問に対し、メルケル首相は日本を批判せず、ナチスドイツに対する現在の歴史認識に至るまでのプロセスを語った。

 海外メディアは、中国政府がメルケル首相の訪問を利用し、ドイツの歴史認識問題を取り上げることによって、日本政府への批判を強めたいと報じた。

 ロンドン・タイムズ紙も8日付の報道で、中国政府が反日プロパガンダを強化し、メルケル首相の訪問を利用する思惑があると分析した。

 7日付き米ウォールストリート·ジャーナル(WSJ)紙によると、北京政府が常にドイツの歴史認識を賞賛し、軍国主義の歴史を美化していると日本政府を批判している。メルケル首相の訪中は、ちょうど日中戦争のきっかけとなった盧溝橋事件の77周年記念に重なったが、メルケル首相は中国の日本批判に同調せず、「経済発展と人権は一対だ」と人権重視の姿勢を改めてアピールした。

(翻訳編集・王君宜)

 

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