中国で使われる漢字の数

日本で現在使われている常用漢字は約2千字。一方、漢字が発生した中国では、いったいどのぐらいの漢字があり、どのぐらいの漢字が使われているのだろうか。

時代とともに増えた漢字の数

 商代(約BC11世紀まで)の甲骨文で現在識別できたのは約2千字。

 周代(約BC3世紀まで)の『史籀篇』に収載されたのは約3千字。

 秦代(約BC2世紀まで)の『倉頡篇』などに使われたのは約3千字。

 漢代(約2世紀まで)の『説文解字』に収載されたのは約9千字。

 晋代の『字林』(514年)に収載されたのは約1万3千字。

 南朝の『玉篇』(534年)に収載されたのは約1万7千字。

 宋代の『広韻』(1008年)に収載されたのは約2万6千字。

 明代の『語彙』(1615年)に収載されたのは約3万3千字。

 清代の『康煕字典』(1716年)に収載されたのは約4万7千字。

 1915年の『中華大字典』に収載されたのは約4万8千字。

 1993年の『漢語大字典』に収載されたのは約5万6千字。

 1994年の『中華字海』に収載されたのは約8万5千字。

古代常用漢字の数

 数千年の間、蓄積されてきた中国の伝統文化は、内容が非常に幅広く、かつ奥深い。たとえば、何万とある漢字を覚えて使いこなすことは、普通の人間の頭では相当難しい。実際、日常生活や仕事の中でよく使われている漢字、いわゆる常用漢字の数はどのぐらいあるのだろうか。

 漢字使用率の統計によれば、中国歴代の各種の著作に使われた漢字の数(重複は計上しない)は4千字を超えておらず、大部分が2千字から4千字の間。例えば、有名な四書の一つである『論語』には約1万6千字が使われているが、重複を除けば約1千4百字しかない。『墨子』には約7万6千字が使われているが、重複を除くと約2千5百字。『全唐詩』の白居易の巻は約20万字があるが、重複を除くと約4千7百字しかない。

 また、古代の十三経と言われる『易』、『書』、『詩』、『周礼』、『儀礼』、『礼記』、『春秋左伝』、『春秋公羊伝』、『春秋谷梁伝』、『論語』、『孝経』、『尓雅』、『孟子』の中に使われている漢字は約6千5百字だ。

 漢字の使用頻度を見ると、古代の書の中で最も頻繁に現れた漢字のうち、前位の1千字は漢字の80・9%を占めており、前位の2千字はおよそ91・6%、前位の4千字は文章全体のおよそ97・5%を占めている。

現在の常用漢字の数

 1994年に出版された『中華字海』には8万5千字あまりが収録されているが、実際に現在よく使われている漢字、いわゆる常用漢字の数はどのぐらいあるだろうか。

 現代の文章を材料にして行った漢字使用頻度の統計によると、3千5百字が読めれば、現代の文章の99・8%が読めるという。

 通常の出版印刷や情報処理、人名、地名、科学技術用語などの方面においては、8千字の漢字を知っていれば、十分に対応できる。専門知識が必要な人は、4千から4千5百字を知っていれば、十分に間に合う。一般的には、2千5百から3千5百字を習得すれば、生活や仕事に必要な読み書きができると言われている。
 

(翻訳編集・文子)