北朝鮮を訪れた米国家情報長官、人質救出の経緯明かす

【大紀元日本11月18日】11月8日に北朝鮮を訪れ、拘束されていた米国人2人を連れ帰ったジェームズ・クラッパー米国家情報長官は16日放送の米CBSテレビの番組で、北朝鮮滞在中の一部始終を明かした。

2人の解放を宣言した北朝鮮は米国側に対し、関連協議を行うとの理由で米外交筋の高官の派遣を要求してきたという。これを受け、クラッパー長官は北朝鮮に飛び立った。

「非常に心配だった。事態の行方をまったく予測できないうえ、彼ら(北朝鮮)が約束通りに人質を解放するのか確信を持てなかった」(クラッパー長官)

出迎えたのは北朝鮮国家安全部のトップと通訳1人。長官はその場でオバマ大統領の親書を手渡し、そして、2人の人質の「罪」について陳謝したという。「彼らは失望した表情をみせた。私がいかなる外交上のメリットももたらしていないからだ」(同)

オバマ大統領の親書には、同人質2人の解放は、北朝鮮側の前向きな姿勢を示すことになる、と書いてあったという。

到着当日の夜、クラッパー長官は北朝鮮偵察局主催の夕食会に招待された。「料理はお粗末ではないが、双方の激しい言葉のやり取りにより決して楽しい食事とは言えなかった」と同長官は当時を振り返った。共産主義偏執狂のような相手が「米国の干渉政策」を批判してきたため、同長官も言葉で応戦をしたという。

翌日、滞在先の迎賓館で待機し、「長くて緊張した時間」を過ごしていたクラッパー長官は突然、20分以内に荷物をまとめるようにと言われ、連れて行かれた別のホテルで、2人の人質と対面した。その後、一行は直ちに帰国の途についた。

韓国系米国人のケネス・ベ(Kenneth Bae)氏(46)は2012年11月に拘束され、北朝鮮政府の転覆を図ったとして、15 年の労働教化刑を言い渡されていた。マシュー・ミラー(Matthew Miller)氏(24)は入国管理局でビザを破り捨て、亡命を要求したとして今年4月に拘束され、6年の労働教化刑を言い渡されていた。

北朝鮮は10月、拘束していた米国人のジェフリー・ファウル(Jeffrey Fowle)氏(56)を帰したため、北朝鮮に拘束されていた米国人3人はこれで全員が解放された。

2人の解放直後、米国務省は声明で、北朝鮮に対してなんらの見返りも与えていないと発表した。

米政府はこれまでに、外交的な譲歩を引き出すために米国人を人質に取っているとして、北朝鮮政府を批判していた。

(翻訳編集・叶子)
関連記事
人気オンラインゲーム「アクシー・インフィニティ」ソフトウェアに対するハッカー攻撃で6.15億米ドル(約780億 […]
[東京 24日 ロイター] – 海上保安庁は、防衛省の情報として、24日午後に北朝鮮から発射された […]
[ジュネーブ 21日 ロイター] - 国連のトマス・オヘア・キンタナ北朝鮮人権状況特別報告者は21日、北朝鮮に対し、政治犯収容施設で劣悪な環境に置かれた多数の人々を解放するよう呼び掛けると同時に、国際社会に核問題とともにこの問題を取り上げるよう促した。 キンタナ氏は、2014年の国連調査で最大12万人が収容施設で拘束されていることが判明したとし、その後も施設に関する報告を受け続けていると述べた。
[東京 11日 ロイター] - 松野博一官房長官は11日の閣議後会見で、北朝鮮による一連の軍事的な行動について、日本や国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できないと述べた。 防衛省は11日、北朝鮮が2月27日と3月5日に発射したミサイルを米政府と連携して分析したところ、いずれも大陸間弾道ミサイル(ICBM)級だったことが分かったと発表した。当該ミサイルの最大射程での発射試験を行う前に
[ソウル 4日 ロイター] - 米国の北朝鮮研究サイト「38ノース」は4日、商業衛星写真を基に、北朝鮮の寧辺(ヨンビョン)核施設の活動が活発化しているとの見方を示した。 核分裂性物質の生産が行われているほか、施設拡大に向けた基礎工事が進められており、近く実験用軽水炉(ELWR)の稼働が始まる可能性があるという。ただ、プルトニウム抽出のために使用済み核燃料を再処理する放射化学実験室の能力拡大に向けた