北朝鮮を訪れた米国家情報長官、人質救出の経緯明かす

2014/11/18
更新: 2014/11/18

【大紀元日本11月18日】11月8日に北朝鮮を訪れ、拘束されていた米国人2人を連れ帰ったジェームズ・クラッパー米国家情報長官は16日放送の米CBSテレビの番組で、北朝鮮滞在中の一部始終を明かした。

2人の解放を宣言した北朝鮮は米国側に対し、関連協議を行うとの理由で米外交筋の高官の派遣を要求してきたという。これを受け、クラッパー長官は北朝鮮に飛び立った。

「非常に心配だった。事態の行方をまったく予測できないうえ、彼ら(北朝鮮)が約束通りに人質を解放するのか確信を持てなかった」(クラッパー長官)

出迎えたのは北朝鮮国家安全部のトップと通訳1人。長官はその場でオバマ大統領の親書を手渡し、そして、2人の人質の「罪」について陳謝したという。「彼らは失望した表情をみせた。私がいかなる外交上のメリットももたらしていないからだ」(同)

オバマ大統領の親書には、同人質2人の解放は、北朝鮮側の前向きな姿勢を示すことになる、と書いてあったという。

到着当日の夜、クラッパー長官は北朝鮮偵察局主催の夕食会に招待された。「料理はお粗末ではないが、双方の激しい言葉のやり取りにより決して楽しい食事とは言えなかった」と同長官は当時を振り返った。共産主義偏執狂のような相手が「米国の干渉政策」を批判してきたため、同長官も言葉で応戦をしたという。

翌日、滞在先の迎賓館で待機し、「長くて緊張した時間」を過ごしていたクラッパー長官は突然、20分以内に荷物をまとめるようにと言われ、連れて行かれた別のホテルで、2人の人質と対面した。その後、一行は直ちに帰国の途についた。

韓国系米国人のケネス・ベ(Kenneth Bae)氏(46)は2012年11月に拘束され、北朝鮮政府の転覆を図ったとして、15 年の労働教化刑を言い渡されていた。マシュー・ミラー(Matthew Miller)氏(24)は入国管理局でビザを破り捨て、亡命を要求したとして今年4月に拘束され、6年の労働教化刑を言い渡されていた。

北朝鮮は10月、拘束していた米国人のジェフリー・ファウル(Jeffrey Fowle)氏(56)を帰したため、北朝鮮に拘束されていた米国人3人はこれで全員が解放された。

2人の解放直後、米国務省は声明で、北朝鮮に対してなんらの見返りも与えていないと発表した。

米政府はこれまでに、外交的な譲歩を引き出すために米国人を人質に取っているとして、北朝鮮政府を批判していた。

(翻訳編集・叶子)
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