逮捕される元最高指導部メンバー周永康 「その他の犯罪」とは何か

【大紀元日本12月8日】中国国営新華社通信は6日未明の報道で、中国共産党最高指導部会議の最新決定として、前中央政治局常務委員の周永康(72)の党籍をはく奪、刑事責任を追及、身柄を司法機関に移すと伝えた。最高人民検察院(最高検)も周を立件し、逮捕することを決定したと報じた。容疑は「政治、組織、守秘の紀律を厳重違反」「巨額収賄と職権乱用」「党と国家の機密を漏えい」などのほか、「その他の犯罪に関与した容疑」ももたれている。

「党と国家の機密を漏えい」「その他の犯罪」は一体どういう意味なのか。国内外がこのことに注目している。

これを解説するには、まず周の出世の経緯を明らかにしなければならない。

2000年四川省のトップだった周永康は、当時の最高指導者江沢民氏の法輪功(中国伝統気功)弾圧政策を積極的に実施したことで、江氏の厚い信頼を勝ち取った。同氏の大抜擢で、2002年には指導部入りを果たして公安・司法を束ねる中央政法委のナンバー2になり、2007年から2012年に引退するまで同トップを務め、党内序列9位までに上り詰め、江沢民派の主要メンバーとなった。

江氏が引退した次の胡錦濤体制においては、周が支配する中央政法委は「江沢民派の第二の中央権力体制」と言われ、「胡(錦濤)・温(家宝)両氏の政令が執行されない」と言われるほど強い権力を握っていた。2012年末の政権交代を見据えて、江派は引退する周の後継者として、同じく法輪功弾圧に積極的に追随する重慶市のトップ薄熙来(65)を選んだ。

しかし、江派のこの計画は、2012年2月の薄の元側近、重慶市元公安局長の王立軍受刑囚の米国領事館亡命未遂事件により破たんした。

大紀元時報の独自情報によると、王立軍は当時米国側に江派に関する各種機密情報を渡した。その中には、収容中の法輪功学習者に対する組織ぐるみの臓器収奪、次期最高指導者習近平氏を失脚させ薄に継がせるための政変計画の証拠資料が含まれている。

米ニュースサイト「ワシントン・フリービーコン」は同年3月、米政府関係者からの匿名情報として、同政変計画を報じた。

事件発生の翌月、薄熙来は重慶市トップを解任され、翌年10月に無期懲役の刑が確定した。

大紀元コラム二ストは「対外の発表では、薄の罪状は収賄や、横領、職権濫用であるが、政変計画と臓器狩りこそが本当の罪である。また、江派が政変を計画してまで政権にしがみつこうとする重要な理由の一つは、法輪功弾圧の責任追及から逃れるため」と述べた。

一方、絶対的に不利な状況に陥った周永康らは諦めなかった。

指導部筋など各方面からの情報によると、2013年3月19日、周は武装警察部隊を動員して最高指導部・中南海付近の新華門と天安門を包囲するなど、政変を実行しようとしたが、当時の胡錦濤・総書記が精鋭部隊38軍を緊急投入したことで、政変は失敗に終わった。

一部報道では2012年11月の習近平政権発足後、周は2回以上の政変、2回以上の習近平暗殺を実施しようとしたという。

王立軍事件から約1年10カ月後の2013年12月初旬に、大紀元などが周永康身柄拘束説を相次ぎ報じた。2014年7月末、指導部は周を立件、審査することを発表した。

大紀元コラムニストは「習近平政権がそのもっとも主要な罪、政変計画と法輪功学習者に対する臓器狩りを公表しない理由は、政権の安定を守るためである」と指摘した。1999年弾圧されるまでに国内で1億人の愛好者がいたとされる法輪功。「江沢民は当時、最高指導部メンバーの多数の反対を押し切って、法輪功弾圧を発動した。江沢民派が推し進めてきた15年間の弾圧で、大勢が獄中で殺され、臓器狩りの被害者となった」と法輪功側は主張している。

党最高指導部の元メンバーが逮捕されるのは、中国共産党執政開始以来はじめてのことだ。

(翻訳編集・叶子)

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