評論:中国債務問題からAIIB、中国株式市場をみる

【大紀元日本5月7日】中国国有電気機器メーカーの「保定天威集団」は4月21日、8550万元(約16億2450万円)の社債利払いが履行できなかったと発表した。中国の中期債権市場において、初めての債務不履行(デフォルト)となった。またデフォルトに陥った初の国有企業でもある。

「保定天威集団」の親会社は同社を含めて100社の子会社を有する中央政府直轄の軍需企業である「中国兵器装備集団」だ。保定天威集団によると、デフォルトの原因は業績不振で4年間連続巨額な赤字となり、金融機関に対して返済できていない借金が約19億元(約361億円)に上った。

昨年、民間企業の上海超日太陽能科技術が社債の利払いが履行できないとして、中国債券市場で初のデフォルトを起こし、その後、不動産企業の佳兆業集団や中科雲網科技集団など、民間企業が次々とデフォルトに陥った。しかし、国有企業がデフォルトとなったのは今回初めてだ。今後、中国当局は巨額な負債を有し、業績不振な国有企業のデフォルトを黙認するだろうとの見方がある。

中国企業の負債額は世界各国の中で最も高い水準になる。米格付会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によると、2013年末までに中国の企業の債務規模は、米国の13兆1000億米ドル(約1572兆円)を上回って、14兆2000億米ドル(約1704兆円)となった。

その中で、無視できないのは債券を発行するほとんどの中国企業が政府関連企業だ。また情報によると、まだ返済できていない債券のうちの91%が政府関連企業で、6%が民間企業だ。

中国審計報告との中国政府の公式な統計では、13年上半期まで地方政府の債務規模が17兆9000億元(約340兆1000億円)、国内総生産(GDP)の31.4%を占め、中央政府の債務規模は12兆4000億元(約235兆6000億円)でGDPの21.7%を占める。

過去十数年間に、中国経済が高速成長をしたと同時に債務規模も急速に拡大した。地方から中央、民営から国有、また株式市場から不動産市場、影の銀行までさまざまな分野でバブル化した。この2年間に経営不振で企業のデフォルトとなったケースが少しずつ増えており、今や国有企業にまで及んできた。中国の債務問題は懸念されているよりも深刻であろう。

中国の債務問題の現状は2008年に起きた世界金融危機と米国発のサブプライムローン問題と似ているところが多い。当時、ウォールストリートの金融機関は債務を金融派生商品として投資家に売った。しかし、今現在、中国当局は、政府が主導して計画的に地方政府などの負債をきれいに包装し海外までにも売ろうとしている。この取引プラットフォームはまさにアジアインフラ投資銀行(AIIB)だ。

一方現在の中国株式市場はまるで一匹の狂った牛のようだ。中国の株式市場が設立された当初の目的に、中国共産党政権は、その下の国有企業が経営不振に陥った時、株式市場から莫大な資金を調達できることにある。

今中国共産党がAIIBを提唱して設立しようとする目的も単純ではない。本紙の社説「共産党についての九つの評論」では中国共産党が人々の財産を略奪する本性とその腐敗の根本問題について述べたように、13億人の国民の財産を略奪してきた。しかし、なお満足しない中国共産党は、今全世界の人々の財産を狙い始めている。

(評論員・陳思敏、翻訳編集・張哲)
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