タイタニック回想録 -生死の境目に現れる人々の道徳観-

タイタニック(RMS Titanic)は20世紀初頭に建造された豪華客船。処女航海中の1912年4月14日深夜、北大西洋上で氷山に接触し、翌日未明にかけて沈没した。当時としては世界最悪の海難事故で、乗員乗客合わせて1502人が死亡、705人が救助された。生還した乗員の2等航海士で、避難誘導にあたっていた当時38歳のチャールズ・ハーバート・ライトラー(Charles Herbert Lightoller)さんが書き残した17ページにおよぶ回想録には、救助活動の様子が詳細に記録されている。

夫と共に残った女性

 船が沈没し始めた時、スミス船長(Edward John Smith)は、「女性と子供を優先して救命ボートに乗せよ」という指示を出した。しかし、多くの乗客は非常に落ち着いている様子だった。私が大きな声で「女性と子供は早く来てください!」と催促しても、身内と別れて自分だけ先に救命ボートに乗る女性と子供はほとんどいなかった。

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