環境汚染

養豚場から数万トンの化学廃棄物 ガン増加とも関連か

 江蘇省靖江市侯河村の養豚場の地下に、数万トンもの廃棄物が埋められ、ながらく土壌や水資源を汚染していたことが明らかになった。ネットに告発した関係者の話を北京青年報が3日、伝えた。村では、ガン患者が増加しているという。

 同紙によると、養豚場が建つ前は、農薬メーカーからの廃棄物を処理する石油化学工場があり、不法に廃棄物を敷地内に埋めていたという。この工場は2011年に閉鎖し、翌年、養豚場に変わった。

 工場が請け負った廃棄物は十数年間で1.4万トン以上。侯河村では、ガンで亡くなる人が増加しているという。石油化学工場の工場長であった唐満華氏も、鼻のガンで2014年に死亡した。

 石油を染み込ませたような、真っ黒な土

 土壌汚染について、雲南省のビジネスマン・周建剛さんが9月25日にネットに明かした。周さんは2014年、この養豚場を買収した。物流倉庫に改築する予定だった。2015年3月、作業員と現場を視察した10日後、全身の皮膚に潰瘍やかゆみ、皮膚の硬くなるなどの症状が現れた。

 同4月、養豚場の地下を詳しく調べるため、コンクリート床を掘ると、強烈な農薬の悪臭と、石油を染み込ませたような真っ黒な土が、深さ2メートルまで埋まっていたという。

 瀋陽化工大学の李慶禄教授は、有毒物質は地下水や地表の水を通じて土壌を汚染していくため、周辺の農作物は食べられないものだと、同紙の取材に答えた。

 靖江市政府は、養豚場から有害物質が検出されたことを認めたものの、農薬メーカーとの関連を否定した。

 中国の土壌汚染の深刻化

 中国の各地方政府は、GDP向上の為、開発を優先し、自然環境を考慮していない。そのため耕地の減少や土地の重金属汚染、砂漠化が起こり、食糧危機問題に拍車をかけている。

 2014年4月に発表された「第一回全中国大陸土壌汚染調査」によると、約2割の耕地が安全基準値を超えた。8年前の調査より133%増加した。また中国の三分の一の都市は、ゴミに包囲されている。砂漠化の土地面積は、262万3700平方キロメートルと、国土の27%を占め、砂地の面積は173万1100平方キロメートルと、国土の18%に達する。

 中国工学院院士、華南農業大学の羅錫文・副学長によると、中国は2000万ヘクタールの耕地がカドミウム、ヒ素、クロム、鉛などの重金属によって汚染されている。これは国土の六分の一の面積であり、毎年、土壌汚染により1000トンの食糧が減産しているという。

 環境保護部の周生賢部長によると、この10年で中国の環境はひどく悪化し、水資源、土壌以外にも、大気汚染も深刻になっている。北京・天津・河北省などはチリとホコリが舞い続け、どんよりした天気が続いている。環境問題は二次災害を誘発し、これからも増加すると、周部長は予想している。

(翻訳編集・山本アキ)

 

 

関連記事
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
メディアのスクープ話が世の中を動かす。特に最近は「文春砲」など週刊誌メディアの元気が良い。同時に報道のありかたが問われている。国が国民の幸福を奪うことがあったら、ある程度、国家権力の作ったルールを逸脱する「反社会性」を持ち、戦わなければいけない時がある。記者は反社会的な面を持つ職業で、メディアは反社会性を持つ企業なのである。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。
2月23日午後、上川陽子外務大臣はパナマ運河視察を行った。日本が主要利用国であるパナマ運河の安全かつ安定的な利用環境確保に向けた連携を維持すると表明