シリア問題で17カ国外相会議 露伊も参加

オーストリアのウィーンで10月30日、欧米やロシア、中東諸国など17カ国の外相、国連の代表がシリア問題を議論するため、2011年シリア内戦が始まって以来最大規模の会議を開いた。内戦終結を目標とする協議を続けること、過激派組織IS=イスラミックステートへの掃討作戦を強化することで意見が一致したが、アサド大統領の去就について、依然として対立している。状況は「一歩前進した」とされるものの、内戦終結の見通しは立っていない。

 イラン、初の会議参加 アサド大統領の去就が焦点

17カ国の外相、国連の代表は会議でシリアの不安定な情勢を終結させる道筋を探った。アサド政権の主要な同盟国であるイランと、シリア反体制派を支持するサウジアラビアが初めて関連の協議に加わった。これまでの協議は実質上、成果を得られることはなかった。

アサド政権は今回の協議に参加しなかったが、政権に資金提供や軍事支援を行っているイランとロシアがその代表と位置付けられている。米国務省のコビー報道官は会議の2日前、シリアの(独裁)政治体制を変えるにはイランの参加が必要と述べた。

会議では、冒頭の一部の合意には達したものの、アメリカとその同盟国がアサド大統領の退陣を強く求める一方で、ロシアとイランはアサド政権への支持を強調するなど、意見が対立した。ロイター通信が米国務省顧問トーマス・シャノン氏の発言として伝えたところによると、ケリー米国務長官は会議を通じてイランとロシアのシリア政権交代への見解を確認しようとした。

同長官は会議終了後の記者会見で、「事態が決着したわけではないが、新しい外交交渉の局面に入った」と一定の進展があったことを強調した。

アサド政権と反体制派の間で内戦が続くシリアは、昨年夏以降、イスラム過激派組織「イスラミックステート」の主要拠点ともなり、情勢がさらに混乱している。米国を中心とする「有志連合」がこの1年間、掃討作戦の空爆を実施してきたが、同過激派組織は依然として活動している。

この4年間シリアでは20万人以上が死亡し、400万人余りが他国に脱出し難民生活を強いられている。欧州諸国には第二次世界大戦以来の規模で難民・移民が押し寄せ、その大半はシリア人である。諸国が手こずっているこの難民問題を抜本的に解決するには、シリアの内戦を終結させ情勢を安定化させるのが先決だといわれている。

30日の協議中にも、シリア政府軍はダマスカス北部にロケット弾と迫撃砲を発射し、少なくとも40人が死亡、約100人が負傷した。

(翻訳・桜井信一、編集・叶子)

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