中国の人権派弁護士、江天勇(写真)氏の行方が分からなくなっている。(大紀元資料)
弁護士失踪

人権派弁護士、またも行方不明に 弁護士61人が調査を要求

中国の人権派弁護士、江天勇氏が11月21日夜から行方不明になっている。消息を絶つ直前、2015年7月に大量に拘束されたなかの一人の弁護士の家族を尋ねるため、湖南省長沙市にいたという。中国の弁護士61人らは27日、中国公安部に対し、江氏の失踪について直ちに調査を開始するよう求める共同声明を発表した。

失踪には、拘束された弁護士の家族と接触したためではないかとの憶測がある。声明によると、江氏は長沙市に赴き、昨年7月に身柄を拘束された弁護士・謝陽氏が収監されている長江第二看守所で、弁護士と謝氏との面会が妨害されていることについて調べていた。謝氏の妻にも会っていたという。

江天勇氏が消息を絶ったのは11月21日午後10時ごろ。妻の金変玲さんのもとに、長沙発北京行きのD940号高速列車の当日切符を予約したとの連絡が入ってから、行方が分からなくなっている。

このたび、弁護士61人と昨年失踪した弁護士の家族らによる声明文には、江弁護士は以前にも身柄を拘束されており、その際左耳の鼓膜が破れ、肋骨8本が骨折するという激しい拷問を受けたと記されている。

弁護士らは声明文を通じて、公安関連部門に対し、江弁護士の失踪について直ちに調査を開始するよう求めている。もし関連当局が江弁護士に対し、強制連行等の措置を取ったのであれば、法律に従って、直ちに書面で家族に通知し、江氏に弁護士を立てるという基本的な権利を保証するよう求めている。

また、江氏が長沙に住む弁護士の家族を見舞って、その人物の弁護士接見が阻まれていることを調査しただけで拘留され、刑事責任を追及されるというのであれば、これを断固拒否し、当局に対し、江氏を直ちに解放するよう要求すると記されている。

28日、江氏の妻の金さんは、米国営放送、ラジオ・フリーアジアの取材に対し、今回の共同声明を通じて、中国当局にはっきりとした納得のできる説明を求めると語った。

伝えられるところによると、江氏の父親からの依頼を受けた弁護士らは、25日に北京西駅派出所に事件の届け出を出したが、北京の警察当局は何かと理由を付けて、取り合わなかったという。

世界が江氏の安否と中国当局の対応を注視

 

11月25日、国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは緊急声明を発表し、江弁護士の失踪について直ちに調査を開始すると同時に同氏を即時解放すること、また拘留期間中には拷問を受けず、弁護士と接見できるといった江氏の法的権利を保証するよう、各国各界から中国指導者層に書簡を送ることを求めた。

米国でも動きがあった。報道によると、米国務省のカティナ・アダムス東アジア・太平洋担当報道官は、江氏の失踪事件を受けて28日、中国政府に対し、同氏の所在を明らかにするとともにその安全を確保し、一刻も早く自宅に帰すよう促した。また中国に関する米国議会・政治委員会(CECC)は来週にも公聴会を開くが、江弁護士失踪事件はその中の重要な議案として取り上げられることになっている。

また25日には、ドイツ副首相で経済大臣のジグマール・ガブリエル氏が報道官を通じてドイツ通信社に対し、江弁護士の行方が長期にわたり分からなくなっていることについて、衝撃と憂慮を表明し、もし助けが必要であるなら、江弁護士のために努力することもいとわないと発言した。副首相は11月2日、訪中した際に中国のドイツ大使館で江天勇弁護士と面会している。

さらにフランス大使館の公式サイトには、仏外務省報道官もこのほど行われた記者会見で、同国も江弁護士の失踪事件を注視しており、人権問題について、中国政府と引き続き対話を行ってゆくとの考えを示したことが掲載された。

江弁護士はこれまでに、同じく人権派弁護士として知られる陳光誠氏や高智晟氏、そして不当逮捕された法輪功学習者の弁護を数多く引き受けており、当局からいくども拘束され、拷問を受けている。09年7月には、北京市司法当局から弁護士登録を抹消された。

訳注)7.9事件 2015年7月9日、中国警察は国内全域で、人権派弁護士を一斉拘束した。この時に拘束された弁護士の数は、一時的なものも含めて少なくとも228人以上と見られている。参考:中国の人権派弁護士拘束 228人に 上海著名弁護士「迫害を恐れない」

(翻訳編集・島津彰浩)

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