高山さんが建てた小学校と可愛い生徒たち(田中美久 撮影)
女ひとりで世界一周放浪記 14

本質を見据えた支援とは

 井戸建設に必要な費用は、日本の支援者からの寄付により賄われます。「大事なのは、支援してくれる方と同じ目線に立つこと。支援金を貰うだけ貰って、あとは丸投げでは意味がありません」

 高山さんは常にカメラを持ち歩き、記録を残していました。支援者に報告をするために撮影しているようです。支援金の使い道やその後の報告を怠らないことも重要であると高山さんは語ります。

 高山さんが建設した学校を訪問しました。小学校に到着すると、子供達が高山さんの姿を見るなりゴミを拾い、靴を揃え始めたではありませんか。私たちが教室に入ると、元気な声で日本語の挨拶をしてくれます。彼らが教室の中に入る際には、「失礼します」と行儀良く挨拶をしています。とても驚き感心しました。

「失礼します」とお辞儀して入ってくる生徒たち(田中美久 撮影)

 高山さんは、この学校を建てる際、「ゴミを拾う、靴を揃える」という習慣を子供達に徹底することを村人たちと約束していました。「支援の本質はハードではありません。ソフトな部分を育てることです」と高山さん。

 建物を建てて支援を終了してしまうのは、ハードの側面しか見えていない中途半端なものです。「人を育てる」というソフトな部分に目を向けることが本質を見据えた支援になるのです。「援助をする側もだが、援助を受ける側にも責任がある」と考える高山さんは、支援を当たり前として享受させるのではなく、靴を揃えたりゴミを拾ったりというソフトな部分を徹底させているのです。

 生徒たちは皆素直で、輝くような素晴らしい笑顔で出迎えてくれました。高山さんが「TAKAYAMA」という文字を見せ、「読めるか?」と生徒に尋ねました。すると、2人中2人ともが正しく解答していました。2年前に同じ質問をした時は答えられなかったそうです。子供たちは教育を受け、着実に成長しているようです。

目を細めて「お前成長したなー」とニコニコ笑顔の高山さん(田中美久 撮影)

 学校の敷地内には高山さんが建設した井戸がありました。高山さん自身が実際に水を飲み、「うん、飲めるね!」と水質チェックをしていました。

 支援とは自分のエゴでするものでは決してありません。現場に入り、現地の人と同じ目線に立ち、問題を突き止め、ニーズを探ることです。現実を直視し、その中から本質を見極め、できることを1つ1つ着実に積み重ねていけば必ず結果が伴うのだということを、高山さんの活動を見て感じました。

 厳しくも愛情に満ちた高山さんの周囲には、村の人たちの温かい笑顔で溢れています。自立復興に向けて、タサエン村は少しずつ、しかし着実に歩みを進めています。

(田中 美久)