生死の場面でわかる本性

医者が励まされた末期ガン患者の笑顔

米紙エポックタイムズ(The Epoch Times)で少し前に報道された80代の老夫婦の話です。夫婦二人はガンに罹り、妻のミミさんは悪性リンパ腫で、夫のジムさんは膀胱ガンで同じ病院で治療を受けていました。更に悪いことに、胸の痛みを感じるようになったミミさんが精密検査を行ったところ、彼女の胸部にも悪性腫瘍があることが分かりました。

主治医と看護師が検査結果を伝えるために、ミミさんの病室にやってきました。悪い知らせを伝えると、患者や家族が泣き崩れたりするので、医師が慰めることも多いのです。担当医は深呼吸をしてから、夫の手を握りながらベッドに横たわっているミミさんに、なるべく穏やかな口調で彼女に結果を知らせました。 

すると、告知を聞いたミミさんは微笑みながら医師に言いました。「今日は何の日か知っていますか?今日は特別な日なのよ。だって、60年前の今日、私たちは結婚したのですから」

ミミさんの明るい反応に、担当医と看護師たちは驚きました。

ミミさんは続けて、夫と人生を共に過ごせたことに感謝していると述べ、また世話をしてくれた病院のスタッフにも感謝していると話しました。またミミさんは、患者に末期ガンの告知をすることは、非常につらいことでしょうと、医師たちを気遣いました。

病室を出た担当医は驚きのあまり首を振りながら、「彼女はここで最も重症の患者だが、我々にとっては彼女が『最も健康な人』と言えるだろう」と話しました。確かに、ミミさんのように、生死の試練に直面しても穏やかに感謝の気持ちを述べることができる人は、多くはないかもしれません。

「病気」は英語で「disease(疾病)」あるいは「illness(病)」と書きます。身体が正常に機能しない「disease」になるのは皆同じでも、心と精神を病む「illness」になるかどうかは、患者の受け止め方によって違ってくるのです。

(翻訳編集・豊山)